端正な文章の中に詰まった干からびた絶望がひどく嗜好に合う。踊りとは演目からなる身体を駆使した決まり事である。絶望を反復する人生も、また先の見えない舞踏に似ているのかも知れない。何処にも行けず、同じことを繰り返すことが凡人の絶望の正体である。「絶望の最小単位」を描いた、秀逸な短編だと思った。