第23話 緊急招集
半日後。
エリスを受け取ったリュエルは預けていた間に受けていた依頼を完了して隠れ家に帰ってきていた。
今回受けた依頼はまあ、ごく一般的なZOIDの排除だ。もちろん今はCランクなのでDやEの時に比べZOIDの量なども多くなっている。それにCランクの依頼の中もかなり差がある、やはり一番傭兵の数が多いCランクだからか、依頼も幅も多く、難しいものでは希少種と遭遇するような依頼も何回かあった。そのおかげかすでに希少種一体くらいなら普通に倒せるようになった。
もっとも今回は武装の試しということもあるのでそこまで難しいものは受けていない。
さて、そんなことより、ジェスターを使ってみてわかった事だが、使い勝手としてはかなりよかった。カタログにも書いてあった通りビームのブレは大きいが、連射するのでなければそこまで。それに近距離のようなビームがブレても問題がない状況では連射もできる。あと、腰部のレール砲と違って射角が完全に固定でないこともいいポイントだろう。
…………シールドについては使う機会がなかったのであまりわからないが、近距離での咄嗟の防御に使えそう………という感じだ。逆に言えばそれ以外に使い道はほぼ無いだろう。
まあ、シールド部分を除いても使い勝手は良かったので使い続けることにする。
ちなみに、ミサイルの方は結構高く売れた、なんならジェスターよりも高かったので収支としてはプラスだ。
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依頼の完了報告なども終わり寝る準備をしようとした時。傭兵の端末に一つ通知が入った。
開いてみるとダスカーからのようだ。
「緊急招集?」
内容としては緊急招集を行うということ、今から1時間後にブリーフィングを行うので必ず参加することらしい。
ちなみに、ブリーフィングと言っても実際に集まるのではなくネットを使った方だが。
しかし、今リュエルが気になているのはそこではない。
「なあ、リン。緊急招集ってなんだ?…………いや、名前からなんとなくは推察できるが………」
「えっと…………今調べてみたんだけど。シンジケートにおける緊急招集ってうのはシンジケートにとってかなり大きな出来事とかが起こって多くの傭兵を使わなければならない時に一度に集めるための招集で。必ず参加しないといけないみたいだね」
なるほど、それが緊急召集か…………。
「シンジケートにとって大きな出来事と言うと…………あれか、他のシンジケートが攻めてきたとかか?」
「うん、大体はそうだね。あと大型ZOIDの接近とかでも行うらしいよ」
まあ、なんとなくはわかった。
そして、今受けている依頼よりも優先していいのだろうかと一瞬思ったが、よく考えたら今受けている依頼もシンジケートからのものなので問題はないのだろう。
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1時間後………
リュエルは指定されたIDを入力することでブリーフィングの部屋に入った。
実は、ブリーフィングをするのは初めただ。なぜなら今まではシンジケートからの依頼を受けていただけなのでブリーフィングをする必要がなかったからだ。
入ってしばらくするとブリーフィングが開始された。
どうやらまずはダスカーが話すらしい。
『…………集まったか』
『まず、今回は貴様らCランク以上の傭兵を招集したわけだが………理由は………察している奴もいそうだが一応言う。簡単に言うと『スネーク・ホープ』と『ウィラボレアス』が同盟を組んで攻めてきた。まあ、俺らが他のシンジケートに狙われるのはいつものとこだが、2つ同時に相手するのはシンジケートの部隊だけだは流石に無理だ』
………なるほどシンジケート同士の抗争か………にしても『明け色の陽射し』がよく他のシンジケートに狙われるのは初めて知った、なぜなのだろうか?狙われる理由はあまり無い気もするが。………いや、たかだか1ヶ月しかいない私が知らないことなどたくさんあるのだろう。
…………そんなことより今はブリーフィングを聞こう。
『で、本隊の方は俺らが叩くからお前らには別働隊に当たってもらう』
『詳しい編成だが、アイクとCランクでおそらくメインとなる別働隊を…………Bランクは各々自由に遊撃といった形だ』
となると私はアイクさんに着いていくことになるのか。
『…………質問していいか?』
『いいぞ、なんだアイク?』
『いや………俺を遊撃に回さなくていいのか?俺は単騎の方が強いが』
なるほど、確かにそうかもしれない。私はそこまでアイクさんの機体は知らないけどこの前見ただけでも集団戦には向いていなさそうだった…………まあ、その話をするなら私の戦い方の向いていないが。
『ああ、それにも理由がある。『エクステンデッド』が向こうの依頼を受けているらしい………で、スパイによると本体の方ではなく別働隊のリーダーとして動いているそうだ』
『なるほど………ならしょうがない』
『エクステンデッド』?なんだろうか?そう思っているとリンが補足してくれた。
「『エクステンデッド』は三人組の傭兵で全員がBランク、連携まで含めるとAランクレベルにも匹敵するらしいよ」
なるほど………だからアイクさんをぶつけると………私も戦ってみようかな。
『よし、では集合場所だが………まあ、向こうが攻めてくるのが明後日らしいので明日には集合場所を送っておく。一応侵攻ルート自体はわかっていないからな』
『じゃあ、解散だ』
そしてブリーフィングが終わる。リュエルはこういった部隊での戦いは初めてであるので少し楽しみであった。
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〜あとがき〜
ということで次回からはシンジケートの抗争編。ちなみに『スネーク・ホープ』は前にも出てきたシンジケートで、『ウィラボレアス』はこれまた『明け色の陽射し』と敵対しているシンジケートです。まあ、そこまで酷いシンジケートでは無いですが。
…………さて、ブリーフィングでダスカーがいっていましたが『明け色の陽射し』はよく他のシンジケートに狙われます。なんででしょうね?普通に考えたらシンジケート自体の戦力が少なく傭兵だよりとかですが…………。
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