吸引力が強すぎて奴隷が地球から戻らない〜任務放棄で娯楽に走る〜

リーシャ

第1話奴隷持ちだけど悪人というわけではない

まずは初めに誤解されないように、言っておくことがある。


なんのことかというと、私が奴隷を持っていると言う人聞き悪い単語だ。


断っておくが、奴隷と言っても経緯や色々などがバラバラなので酷い扱いなんてしていない。


うちは金持ちだから取り揃えられたというだけ。


一族全員が資産持ちなので、奴隷は皆持っている。


鞭で打つとかもない。


言うなれば奴隷はメイドや執事、すなわち部下みたいなものなのだ。


奴隷なのは借金を背負っているからで、奴隷と名付けられているものがそう呼ばれるのは、言い方が古来から変わらないからだ。


イメージが悪かろうが、名残りみたいなもん。


私はロロイ。


奴隷を発見したばかりの地球に様子見と送り込むこと17人目、一人も帰ってこない。


まさに効果音は「チーン」である。


帰ってこないが、月に一度の定期連絡は必ず行わせていて、生きていることも確認している。


全員そろそろ定期検診故に帰ってこいと連絡したら、全員所用で行けないと言うではないか。


ロロイは所謂、転生者。


おまけに言えば地球のである。


なので、気持ちはよくよく分かるから見逃していると言う部分は大いにあった。


しかし、私の命令を無視するし、必要な検査をパスしようという魂胆にいい加減、堪忍袋が5個程ぷつんとなる。


「私は君達の給料、一応払ってあげてるんだけどなぁ?それで漫画とか買ってるってことでしょ?」


腹にすえかね、ロロイは抜き打ちで彼女達のところへ乗り込むことにする。


いや、逆に逃げられないように全員ここに強制送還させようか。


そうしたら、きっと検診も丸ごと受けさせられる。


「よし、準備させよう」


青筋を浮かべて、人間間で言う悪魔の翼を広げて飛ぶ。


ここは異世界【ホムラ】。


地球とは隣り合ってもないけど、異世界交流はわりと盛んに行われている。


秩序は、まあ、地球と比べたら同じか少しマシな程度。


翼を持つのはロロイが異世界の他種族だから。


魔法もあるけど、血生臭くはない、と思いたい。


「定期検診、無視されたから全員強制的に帰還させる。皆準備して」


他の奴隷達はザッと並びながらスゥ、と頭を下げて準備に取り掛かる。


「全く、私が一番行きたいから派遣したってのに、なんで全員掃除機の超吸引並に取り込まれてるんだかっ」


怒りながら進んでいくと執事の姿をした女性奴隷が一緒についてくる。


「ご主人様の要請を断るなど、私の監督不行届きでございます」


「そんなことないよ。違う惑星に行ったら誰でもああなる。気にしないで」


ため息を吐きながら、派遣した者達を思い出す。


容姿一つ、技術一つとっても一級品に仕上げたもの達だ。


雪女のように儚い系、白雪姫のような女達。


吊り目美女に、幼女の見た目をした一番年上。


僕っ子のボーイッシュ系。


猫耳を生やしたにゃにゃ口調。


憎まれっ子の、ざまぁ御用達わからせ子供系統。


お淑やかな人などなど、エトセトラ。


様々な17人を送り出したのだが、一人も送り出してから直接報告に来ないと言う不義理が行われている。


用意した施設の機材と医療の資格を持つ奴隷をスタンバイさせ、全員を強制帰還させる魔法を使う。


流石のロロイの世界であれ、この人数をバラバラの場所から移動させるのは難しく、事前に時間設定と集まる場所を示しておいた。


無視したらクビと伝えている。


そこまで無視されて奴隷として置く程のお人好しではない。


かくして、全員が送還されてきた。


ぽかんとした顔がよく見える。


って、全員Tシャツに短パン!?


中には手に持っていたのであろうビールの缶が見えた。


「「「えっ」」」


全員の引き攣る声が聞こえた。


「お久しぶりだね?」


嫌味とも言えない真実を口から吐き出す。


怒りで目が笑ってない顔を見せ、漸く事態を飲み込めてきたらしき女達が、顔を青くして跪く。


「定期検診を全員逃れようとするから、なにか起こったのかと心配したけど、どうやら問題は起きてないみたいだね?」


どう見てもHPは満タンだ。

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