幼馴染みは幼馴染み
金谷さとる
幼馴染みとの雑談
あの夢を見たのは、これで9回目だった。
そう言えば幼馴染みは不思議そうに頭を軽く倒した。
「あえて選んでいるのではなく?」
なにか会話が成り立っていない気配を感じる。
「なんの話だよ?」
「旅先で出会った好みのお嬢さんを助けてみたら、彼氏だか夫だかが出てきて彼女に『ありがとう』って感謝されて夢破れたんじゃないの?」
うるせぇ。
「その夢は9回じゃたりてねぇ」
目から汗が出るから抉るんじゃねぇよ。
「調査甘いのどうかと思うよ?」
「頑張り屋のお嬢さんは助けたいし。今、俺、こう見えても彼女ちゃんといーるーしー」
「ふぅん。頑張り屋のお嬢さん?」
「なんでもできるインテリ系クールビューティー」
すっごく綺麗系ではあるけどいろいろかわいいんだよな。
「ああ。そういうのがタイプだよね」
言い方ぁ!
「魔術師とか医者とか頭良くて自立している系、好きだよね」
ぇえ。
「別に狙っている訳じゃないぞ?」
「人には迷い客押しつけてさ」
不満はそれかと納得する。
「しかたないだろ。別に今魔王も勇者もいる時期じゃねぇし」
「魔王」
スッと指さされる。人を指すんじゃねぇ。
「俺は今を支配する魔王じゃありませーん。現状ただの魔物連中の村長みたいなものですー」
子供のような反論の俺に幼馴染みは軽く肩をすくめてみせた。
「9回も同じ夢を見るならそれはなにかの啓示では? そろそろ魔王も勇者も選ばれてもおかしくないし」
あ、戻るんだ。
「俺は『世界支配する魔王』になるつもりはねぇの」
「別に魔王と勇者なんて世界安定の機構に過ぎないんだから、制御できるおまえでもいいんじゃない?」
誘うんじゃねぇよ。
「あのさぁ。制御なんてできるはずないだろ。あーゆーのはどっかで歪んで暴走すんだよ。でなきゃ、俺が魔王という資格を持ってるわけねぇだろ?」
幼馴染みが幼馴染みだったのは9回以上も昔の俺。
生まれ変わっても記憶を思い出す幼馴染みは覚えている俺に地味に執着している。
勇者や魔王に神が関われば、死ねないや忘れられないままにこの世界に縛られる。
幼馴染みがどんな関わりを持ったのか俺は知らない。
「もし、選択の夢告げだというなら俺は縄張りに引き篭もるさ」
「迷い客が魔王に?」
それマジめんどくさい。
幼馴染みは幼馴染み 金谷さとる @Tomcat
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