第16話

「このお店にうちの学校の子、いないよね?」


「多分。入ってきた時にはいなかった気がする」


「わかった。ほかの人にも聞かれたくないから小さな声で話しますが…」


「なになに?」


「実は…――」



こっそりと。


テーブルを挟んで顔を近付ける私達。


周りの声でかき消されるような小さな声で、以前巧にフラれた事がある事。


でもフラれたと思っていたのは私の早とちりで、実は巧は告白をOKしようとしていた事。


素直になれずにお互いを罵り合って、でも誤解が解けた結果付き合う事になった事を掻い摘んで話した。



「へぇ。そういう事だったんだ」


「まぁ」


「でも都羽が中学の時に告白ねぇ。そういう事をする子だとは意外だった」


「そう?」


「しかも卒業式になんて、可愛いことするじゃん?」


「話したこともなかった巧を呼び出すのは、かなり度胸いったよね~…」


「だろうね」

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