第16話 神 三つ足のロード

 魔王幹部のドット―ルも予想だにしなかった出来事に一瞬戸惑ったが、気を取り直してカイの元へ行く。カイは悲鳴を上げながら手元にある土や石をドット―ルに向けて投げるが、魔王幹部には一切効いていない。

無駄な足掻きも空しく、ついにカイの目の前にたどり着いてしまったドット―ル、カイは最後に俺に助けを求め始める。

「ロード助けてくれ、ここからどうすればいい!?」

涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら助けを求めるこいつの顔は、ここ最近の調子がいい顔との落差で芸術点が高い。まあ、少し可哀そうな気もするが……


 「カイ、どうやらお前の物語はここで終りのようだ。」

「え? ちょっと待てよ!? どういうこと?」

「そのままだ、流石にこの状況を変える事は出来ないだろうよ。お疲れさん、同情はするよ。 ……お、そうだった! 忘れないうちにこれをしなければ!」


俺は腹の中に折りたたんで隠しているもう一本の足を出した。

カイは俺の姿に驚きはしなかった、それよりもこれから何をされるのか恐怖で頭が一杯らしい。

俺は三本目の足でカイの顔を鷲掴みした。

「カイ、面白いモノ見せてくれてありがとうな……」

俺はカイのステータスを開いた。


【名前】 時折カイときおりかい 【種族】 人間

【年齢】16【職業】・勇者・剣士【レベル】23

【称号】・異世界人・勇者の証

【HP】250【MP】140

【攻撃力】45【防御力】20【魔力】50

【素早さ】20【魅力】15【運】15

【スキル】・神の加護・成長率2倍・魔法全属性習得可


そして三本目の足を使って空中に表示されたステータスをなぞる。

するとステータスの部分が綺麗に消えていくのだ。このステータスはカイ自身も見える為、カイはこの光景に驚きと絶望で慌て始める。「うわぁぁぁ」と俺に殴り掛かるが時すでに遅く、カイのステータスは綺麗さっぱりに書き換えた。


【名前】 時折カイときおりかい 【種族】 人間

【年齢】16【職業】・剣士【レベル】23

【称号】・魔法使い

【HP】250【MP】140

【攻撃力】45【防御力】20【魔力】50

【素早さ】20【魅力】15【運】15

【スキル】なし


俺の前にいるのは、異世界召喚された哀れな男子だ。

なんの取り柄のない、チートスキルなんて持ってないただの男だ。

勿論、聖剣なんて代物扱えるハズもない。


「おい、ロードいいのか?」

「ああ、もう大丈夫だ」


ドット―ルは手をカイの額に当てた。


「嘘だ、こんなの嘘だ……、頼む元の世界に帰らせてくれ……」


残念ながら俺にはそこまでの力は持っていない。



 


 カイは頭を吹っ飛ばされて死んだ。

こうして勇者の物語は幕を閉じたのだ。



【名前】 ロード 【種族】 神

【年齢】なし【職業】・神【レベル】99

【称号】・不老不死・選別者

【HP】999【MP】なし

【攻撃力】5【防御力】3【魔力】なし

【素早さ】40【魅力】2【運】2

【スキル】・神の手・全知の目ぜんちのめ・スキル生成

     ・神の加護・スキル譲渡・魔法MP消費なし・魔力創造

        ……etc


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