第4話 勇者パーティ

 「と、言う訳だ。」

俺は召喚された勇者時折カイときおりかいに、この世界の状況を伝えた。ここ最近は、向こうの世界で異世界転生の物語とかが流行っているおかげで、説明するのにあまり手間は掛からなかった。

「おお、よく分かった。早い話、魔王を倒せばいいんだろ! で、何か特典的なモノはあるのか?! 僕は主人公になれたんだろ?!」

「その聖剣が使える事、そして……ステータスオープン」

俺が魔法を唱えると、空中にウィンドウのような物が現れる。


【名前】 時折カイときおりかい 【種族】 人間

【年齢】16【職業】・勇者【レベル】5

【称号】・異世界人・勇者の証

【HP】200【MP】100

【攻撃力】24【防御力】15【魔力】25

【素早さ】18【魅力】15【運】15

【スキル】・神の加護・成長率2倍・魔法全属性習得可


割と良いじゃないか、しかし……神の加護とはね

「このステータスって僕のステータスなのか?」

「ああ、このステータス開示能力は転移者と、転生者の特権だ。自身の今の状態と能力を知ることができる。便利だろ?」

「ちなみに、チートなのか? このステータスは?」

「まあ、頑張って成長してくれ……」

カイは少しがっかりしたようだ、そもそも勇者になれること自体がかなりラッキーだと言うのに、贅沢な男だ。

「そうか、このステータスって他の人にも見ることが出来るのか?」

「いや、出来ない。同じ転生者でもだ、俺は特別に見ることが出来るだけだ……。とりあえず今日はもう寝る事だ。明日も国王から呼ばれるだろう……」

俺はこの部屋を出て夜の闇へと帰った。



 夜が明け、国王に呼ばれた勇者時折カイときおりかい、国王の隣に若い男女数人が集まっている。身なりからして貴族の者だろう、剣士と魔法使い、それに珍しいエルフの弓使いまで、勇者の為に王国の優秀な者達をかき集めた様だ。

「勇者時折カイときおりかいよ、そなたの旅立ちに同行するもの達だ。皆、このディレスティア王国の優秀な者達だ。まずは……、シュメル殿よ其方から自己紹介を願えるか?」

国王の命によりシュメルという男が一歩前に立ち、堂々とした姿で名を名乗り始める。

「私の名はシュメル、オルレアン家‎が一男、剣士シュメル・オルレアンである。この度、勇者時折カイときおりかいの魔王討伐に同行する者だ。」

偉そうな男は「よろしくな」と、カイの手をとって熱い握手を交わした。ちょっとムカつくが根は悪い奴じゃなさそうだ。

「私はカリーナ、魔法使いよ! あなたが勇者なのね、カッコいい人で安心しちゃった。これから仲良くしましょう!」

そう言って魔法使いの女は、初対面のカイに馴れ馴れしく寄って来た。幼い顔をしていながら、放漫なボディを武器に近づくこの女はなんて恐ろしいんだろうか。

意外な一面だったのか、国王含め周りの者達は彼女の行動に対し引いていた。

さてさて、主人公で勇者である時折カイときおりかいはと言うと、まんざらでもない様子。コイツ、キャバクラで気が付いたらかなり金を使ってしまうタイプだろ!

「さ、さて、気を取り直して、森人エルフの少女よ。そなたの番だぞ!」

国王が空気の流れを変えようと弓使いの森人の紹介に話を変えた。

「アデリナだ。よろしく頼む」

今度は180度変わり、愛想のない返事だ。

「あと、少女じゃない、100は超えている。それから先は数えていない……」

ババアだった模様、森人は長寿の種族で年齢が分からない、何年たっても容姿が変わらないからだ。その為、人間たちから羨ましがれたり、気味悪がられたり、可愛そうな種族だ。

何はともあれ、このメンバーで魔王討伐に行くらしいが大丈夫だろうか?

真面目そうな剣士、玉の輿を狙っている女、不愛想エルフ、俺の今までの経験によればこのパーティは崩壊するだろうよ。



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