第2話 勇者の素質
突然連れてこられた少年、年齢は10代半ばから後半ってとこか。流石王国最高の召喚術氏フェルドレ・リフャルドと褒めてやりたい。あとはコイツに勇者の力があるかどうかだ。俺がコイツのステータスを見ようとした時。大柄な国王が俺の事を道端に落ちている石ころみたいに跳ね除けた。
「おお、勇者よ。そなたの名は
偉く上機嫌な国王に対し、俺は蹴とばされた苛立ちを乗せて意見する。
「国王様よ~、まだコイツが勇者だと確信したわけじゃないぞ。本当に勇者なのか調べないとだな……」
「ええい、分かっておる。この勇ましい姿、キリっとした目、希望に満ち溢れたオーラを感じんのか? これで勇者で無いとするならなんだというのだ? 鳥公にはわからんのか?」
「はいはい、そうですね。じゃあ親切にこの俺がコイツの事を見てやるよ!」
やれやれやっとこの少年のステータスを見ることが出来る……
「貴様なんぞの力などいらん!」
国王が怒鳴り散らし、俺の行為を妨害してきた。「貴様は信用ならん」と言って、部下に聖剣を持ってこさせた。確かに盗み見していた奴だ、しかしここまで毛嫌いしなくてもいいのではないか? それに俺ならお前らと違って正確に詳しくコイツの事を見ることが出来るってのに……。まあ、そこら辺は後々でいいか。
転移させれれた可哀そうな少年は何が何だか分からない様子。まあ無理もない、普通の反応だ、ごくまれに気持ち悪いほど状況を受け入れる奴はいるが、対外がコイツみたいにきょろきょろと周りを見て落ち着きがないものだ。
「陛下、聖剣をお持ちしました。」
部下が大層ご立派な箱を持ってきた。中にはあの有名な聖剣が入っている。
聖剣、規格外の強さを持つ魔王の弱点、世界の混沌を打ち砕く力、正義を救い悪を断つなど、いろいろと言われている勇者様にしか使えぬ専用チート武器だ。確かにこの武器をとって本当に勇者かどうか調べるのも手か……
「さあ、勇者カイよ! この聖剣を抜いてみよ」
少年は国王に言われるがまま手に取った聖剣を抜いた。
もしここで抜けなかったら大笑いしてやると思ったが、その期待は叶わなかった。少年は皆の期待に応えるように聖剣を抜いた。今ここに、勇者誕生の瞬間である。
「おめでとう、少年。ああ、勇者様って言えばいいか?」
嫌味ったらしく聞こえたかもしれないが、勇者になった少年に質問した。
「え? あ、どうも有難う。しゃ、しゃべるカラスさん」
「ああ、今後ともよろしくな。で、どっちなんだ? 勇者様って呼べばいいのか、
俺とこの少年が話している間に割って、またこの国王が入って来た。
「おお、勇者カイよ。さあさあ、いきなりで困惑している事だろう。ささ、腹も空いている事だろう、豪華な食事を用意しているんだ。皆で集まって召喚の祝福パーティーをしようではないか!」
「おお、そりゃいいな!」
俺は国王の案に乗っかると、ぐるりと後ろを向いて睨み付けられた。何か悪い事でもしたのだろうか? しかも「お前みたいな奴を招待する気はない」っと言って、部下共に取り押さえる命令を出させた。勿論、こんなモブたちに捕まるほど軟じゃないので一旦この場を去ることにした。
「さてさて、今回の奴は何処まで行けるのやら……」
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