アンチフェアリーテイル
大黒天半太
妖精はもういない
魔法と魔力に満ちたこの世界で、妖精だけがもう存在していない。
新鮮なハズの牛乳は、妖精がいなくても、目を離すと酸っぱくなったり、腐ったり、或いはヨーグルトになったり、チーズになったりするのである。
そこに、何も不思議は無い。魔法と技術があるだけである。
え? 妖精は見えないだけでいるはず? そうでないと説明がつかない?
一口に人の思い込みってものを払拭して、真実を認識してもらうってのは難しいね。
まぁ、こっちに来てみなよ。こっち、こっち。さぁ、コレ一口食べてみな。
美味いチーズだろう? 実際の話、妖精の力を借りてると周りに思われるのは、仕方ないとも思うよ。使ってるのは、同じく目に見えない小さい生き物だからね。
ただし、ミルクの味を変えるのも、チーズに固めるのも、この小さな生き物達の力で、コイツらは過ごしやすい温度とミルクを腐らせる他の小さな生き物を入らせない工夫をしてやれば、きちんと働いてくれる。
魔法と技術は、準備と順序に従って結果を出すんだ。妖精みたいな気まぐれは起こさないのさ。
ほら、ちゃんとチーズが出来上がる……ちゃんとチーズが……。
警報発令! 警報発令!
ミルクが、チーズが固まらず腐らせられた! チーズ工房と敷地を全封鎖の上、
繰り返す! チーズ工房と敷地を全封鎖の上、
これは、演習ではない!
妖精ってヤツは、全く油断も隙もない。
アンチフェアリーテイル 大黒天半太 @count_otacken
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます