読み終えたあと、まるで「春の陽だまりの中に、消えない雪の結晶を一つだけ閉じ込めた」ような、静かで鋭い痛みが胸に残りました。孤独な少年が触れた、雪のように白く儚い奇跡。世界に春が訪れても、彼の心だけはあの日置いていかれた銀色の季節を求めて立ち止まっている……。失うことでしか完成しない「絆」の形を、凍えるような美しさで描き出した、至極の幻想短編です。
短編なのが惜しいくらい余韻があります。少年と妖精のほのかな情が沸く物語です。冬なのに暖かい気持ちになります。続編が欲しい。
妖精とぶつかって「ンギャッ」ってうめき声をあげるアルピが、もう可愛くって可愛くって愛おしくなりました。文体、独特でやや古風ですね。めっちゃ好きです。小説にセンスというものがあるのならこういうものを指すんじゃなかろうかと。ラストシーンは切ないけれど、大人になるってこういうことかもしれないですね。そういう意味では童話的な童話といった感動を得ました。それとすごく勉強になりました。