ある男の病気
二夜目
流行病
ある男は領主であるにも関わらず戦場の最前線に立ち立ちはだかる敵をなぎ倒し武勲を立てていた
彼の誇りはその強靭な肉体と精神そして領民であった
生まれてから一度も病に伏すことなく特にその肉体に誇りを持っていた
民からは武神の生まれ変わりなどともてはやされその噂は他領地まで伝わっていた
彼はあと1つ戦場に出て武勲を立てれば階級が上がると言われ奮起していた
しかし病はそうはさせてくれなかった
領地で流行病が起こったのだ
外には苦しむ民と黒いローブに鳥のクチバシのような仮面を付けた面妖な医者が常に歩いていた
ただの風邪にしては大袈裟だと笑い数日後の戦の為に準備をした
戦の当日彼は自身が病に蝕まれているのを直感した
慢心は身を滅ぼす
彼は戦で片腕を失ったのだ
思うように体が動かなかった
意識が朦朧とした
その後の彼は何かに取り憑かれたかのように変わってしまった
目に生気はなく常に俯いていた
病気で心まで蝕まれたのだ
数日後彼は死んだ
最期の言葉なかった
とっくに彼は彼の心は死んでいたのだ
彼はあの日あの戦場で死んだ
床に伏し死んだのは抜け殻である
ある男の病気 二夜目 @nmp0622
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