誰もが知っている学校の七不思議。それが思わぬ『貌』を見せ始める
- ★★★ Excellent!!!
また、ホラーというものの可能性が切り開かれたような感じがしました。
霊能者の夜雲を主人公とし、「幽霊絡みの超常的な事件」を追いかけるというストーリー。
夜雲は「禁足地となった学校の屋上」に潜む怪異の正体を探ろうと、学校の生徒たちから話を聞いていくことになります。
そして「学校の七不思議」などが紐解かれて行くことになりますが、その過程がまた面白い。
いわゆるモキュメンタリーのような手法で、「学校の怪談」が読まれて行くという手法。この感じがまた新鮮でした。
モキュメンタリーという手法を取ることにより、「学校の怪談」という素材が「現実に起こった事件」として解体されていき、思わぬ実像を浮き彫りにしていくことになります。
そうして「怪談はなぜ出現したのか」、「怪談が人々に与えている影響は何か」という様々な側面にスポットが当たって行く。
こんなの、面白いに決まってるだろ! と読み進めながら強く感じさせられました。
話が進めば進むほど、「学校の七不思議」という、誰がよく知っているものが、「現実に起こった謎の未解決事件」のように変換され、未知の何かに昇華されていく。
その過程がとにかく面白く、「禁足地となった屋上」とか「怪談がどうすると広まるか」などの現象が次々と出現する。
ホラーはまだまだ可能性があると読んで感じさせられました。誰もが知っている素材でも、スポットの当て方やカラーとしての描き方を変えることでまったく違う様相を見せてくれる。
ホラー好きにはたまらない、ホラーの可能性に満ちた作品です。