第5話

私は、父のお腹に乗っかり、あごひげを触るのが大好きで、

大人になった今でも家に戻ると

「ただいま」と父の髭を触るのが日課になっている。


これを忘れると、父が子犬のような目で、顎を出しながら無言で訴えてくる。


それが可愛くて、たまにわざと忘れたふりをするの。


母は、私がわざと忘れるのを解っていて、見守っていてくれる。


でも、父に意地悪しすぎると母からお叱りが飛んでくるけどね。

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