「何が俺がやるだよ」

「武蔵さん、なんで？」

「もう、一人でやろうとしなでよ」

「沖田さんも、どうして？」

「これ」

渡されたのはイヤホンだった。

「え？」

「これで龍馬さんと話しできるから、此処は僕達に任せて先に行って」

「行かせるか」

相手に立ったのは、二之瀬 猩だった。

「あんたの相手は俺がやってやるよ、ほれ行け神崎」

武蔵さんが二本の日本刀で相手に立った。

「はい」

俺は中に向かって走った。

「破られたのならもう一度かけるまで」

「君にもう一度はないよ」

「あ？」

僧侶のような恰好の人間に沖田さんが鋭い抜刀を繰り出した。

だが僧侶の周りには結界が張られ、刃が届かなかった。

「無駄だよ」

「お前がこの霧と神崎君に妖術をかけた本人か？」

「そうだ、私は廻間 透だ」

「偉人は？」

「言うわけないでしょ、不利になるようなこと」

「そうか、でもさっきので分かった。お前は妖術と結界術を主に使うのだな？」

「まあ憶測でもなんでも考えてください、考えれば考えるほどこちらに利益がでる」

俺はイヤホンをつけながら、走っていた。

「神崎君聞こえるか？」

「龍馬さん、どう言うことですか？」

「君、村正を使っただろ？」

「はい、あいつが効果があるかもとかなんとか言って」

「実はそれが僕らが動く狼煙になっていたんだ」

「どう言うことですか？」

「元々結界で覆われているのは問題はなかったんだ、それより僕らが入れなかったのは中に充満していた霧にある」

「濃い霧ですか？」

「ああ、あれは精神干渉を及ぼす影響があり、そこで村正を使える神崎君だけが影響を唯一受けないだろうと思って先に行かせたんだ」

そんなことがあったなんて知りもしなかった。

でも、皇護のメンバーでも精神を支配できる霧を出せるなんてどんな技を使ったのか気になった。

「でも、新維新志士がやったとしてそんな高度の霧を出せるなんて」

「それが問題なんだけど、相手は空海の偉人を要している可能性がある」

「空海？」

「ああ、空海は平安時代初期の僧侶で叡智と神秘の象徴であり、呪術師・賢者・神秘家として史実や伝説が残っている。だから精神系の妖術や結界術が使えると思ったんだ」

「なるほど、でもそんな相手を沖田さんで大丈夫だったんですか？」

「彼は村正を使いこなせないだけで、精神力で言えば皇護一だから大丈夫だよ」

「なるほど」

「それからこれが重要なんだけど、久遠が使う結界術は恐らく空海が影響している」

「どう言うことですか？」

「恐らく久遠が使う偉人が分からないが久遠は元々結界術は使えると仮定して、それを底上げすることもできると思うんだ、あれをなんとか出来れば久遠にも刃は通ると思う」

「分かりました」

その情報だけで良かった、沖田さんなら必ず空海を倒せると信頼できるしそれに久遠自体の結界も今まで鍛錬して来たことを信じてやればいいだけのことだった。

「まて！！」

「うん？」

いきなり目の前にひ弱な男が現れた。

「誰お前」

「私は新維新志士の幹部朝永 冴子だ、偉人は緒方洪庵」

今まで偉人を説明した奴はあまりいなかったので驚いた。

「はー…」

「なんだその微妙な反応は！！」

「まあその、貴方と戦うんですか？」

「そうだよ、ここを通すわけにはいかん！！」

「でも多分傲慢じゃないですけど、どう見ても時間稼ぎにもならないと思いますよ」

「そう言えるもの時間の問題だぞ」

「は？」

「なんだか痺れが出てきてないかい？」

そう言われれば手に少し痺れを感じるような感覚があった。

「何をした」

「なに、私にかかればこんなもの数十分もあれば調合できるわい」

こいつは薬で攻撃してくる感じか。

「この神経毒はもう数分もすれば全身に痺れがくるよ～」

面倒だ、早くけりをつければいいそう思った瞬間ナイフが後ろから飛んできた。

「大丈夫かい、彦真」

「玲奈さん」