第10話 コラボ打ち合わせ1

配信を休んだ次の日、日野瑞希さんからメッセージで会ってコラボの打ち合わせをしないかという趣旨のメッセージが届いていた。

幸いにも地区が一緒らしく近くのカフェで打ち合わせすることが決まった。時間は14時すぎで今はまだ11時過ぎだ。時間までまだ3時間ほどあるため昼食は軽いもので済ませた。

13時前に服を物色しつつ何とか着替えを終えた。それにしても本名の日野瑞希って名前どこかで聞いたことあるんだけどなぁ…と思いつつも待ち合わせのカフェまで行く。


会う時間までまだ20分以上あるので俺はコーヒーを頼みつつ時間まで暇つぶしに簡単にできるスマホゲームをして時間を潰していた。もちろん着いたというメッセージも送っておいた。

女の子は準備が大変だなと思いつつ時間ギリギリにその女の子はやってきた。白の清楚なタイプの長袖のワンピースに薄いジャンパーを着て現れた。髪型は黒のショートヘアで目鼻立ちは整っていてめちゃくちゃ綺麗だ。身長は少し低く150センチ位の小柄な女の子で胸は平均より少し小さい。うん、同じ学校の同級生の人気の女子だった。余り関わらない俺でもそれは分かった。相手も驚いていたらしく何も言葉を発せないでいる。とりあえず座って欲しいなと思いつつ座るように促す。立ったままだと周りの視線が痛いのでね。日野さんは苦いものはダメなのかカフェオレとパフェを頼んでいた。頼んだあとはまたしばらく無言…気まづい…何か話した方がいいんだろうか。でも何を話せばいいのか…まさか同じ学校の生徒だとはお互い思わなかった。うん、ほんとに気まづい…奇跡と言っても過言では無い。学校ですごく人気の日野さんがまさかのVTuberとは思いもしなかったしね。電話で話すよりも会って話した方がいいと提案してくれたのは日野さんだったが同じ学校で学年の生徒が来るとは予想もしてなかったらしい。俺も予測できなかった。名前でわかるだろとも思ったが日野さんの住んでる地区も分からなかったため同姓同名の別人だとばかり思っていた。相手はずっと無言のまま固まっている。俺も固まっている。なんだこれ。お互い固まっているこの状況…なんて言葉をかけるかも迷う。

「「あ、あの!」」

被った。

「あ、先にどうぞ」

俺がそう促すと話し始める。さすがにお互い顔見知り(俺の名前を覚えられてるかは微妙だったけど絡む時に本名を言ったから知られていると思う…)だけどさすがに自己紹介から始める。

「私の名前は日野瑞希、Vとしての名前は知っての通り望月柚希だよ!」

さすがに身バレ防止のため声は小さめだが。俺も自己紹介をする。さすがに2度も自己紹介するのはおかしいと思ったがさすがに相手も自己紹介してくれたのだからこちらもするべきだろう。

「俺の名前は村上一樹、VTuberとしての名前は知っての通り嵩村優希だ。これからもよろしくお願いします!同期なので…!」

さすがに顔を合わせて喋るとなると敬語になってしまう。普段のメッセージのやり取りだと結構砕けた話し方だけどさすがに顔見知り&同じ学校の生徒となるとやっぱり緊張もする。

こんな調子で話し合いできるのか微妙なところだ。

「えっと、さすがに同じ学校の生徒だとは思わなかったよ…」

「うん、私も…名前聞いた時は少しだけ聞き覚えがある名前だなと思いつつもまさかとは思っていたけど同級生だとまでは想像できなかったよ…」

同じ意見みたいでほっとする反面、ほとんど机の上で寝たフリをして友達(いないからなんとも言えない)と話しもせずにいる俺のことを覚えてくれてることに何となく嬉しさも覚えていた…だけどこの調子で話し合いができるかどうかと言われれば微妙かもしれない。

「VTuberやろうと思ったきっかけとかあるの?」

無難にVTuber関係の質問をした方がコラボの話に繋げやすいと思って質問してみたら、素直に答えてくれた。

「うーん、顔出しせずに色んな人と楽しくお話したくて配信してたけど伸び悩んでいたところブイユニのオーディション開催の広告がWebサイトに流れてきたから受かるかなと思って受けて見た感じかな…それでたまたま受かってVTuberになったんだけど…でも最近ほんとに伸び悩んでいるからゲーム関連の配信もやって見るのもいいかなと思った感じでコラボしようと誘った感じかな?ゲーム1番上手いVTuberって村上くんだったから」

「なるほどね…でも最近俺も伸び悩んでいるからこのコラボはいいかもしれないね」

でも難点があるとすればやっぱり男女のコラボになるわけで、そこら辺が結構心配だなと思っている。

例えば男女コラボに反対の人とか…同性でのコラボならばまだ許容されるけど異性コラボだとよく思わないリスナーもいるにはいる。例えそれが最近デビューした人たちだったとしてもだ。

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