街ガラスの悪魔
ギブミーアイデンティティ
街ガラスの悪魔
今日行くところは都心のど真ん中。ショーウィンドウやガラス張りの建物がそこかしこにある。私はそれらが大嫌いだ。
街ガラスには悪魔が潜んでいるから。私は全力で目を閉じて、早歩きで待ち合わせの場所まで向かう。
『粧したところで、どうせ何も変わっちゃいない』
『お前の下手なメイクなんぞ、どこか既に崩れているに決まっている』
『ほら、見てみたくないのか』
悪魔が囁く。
だけど、待ち合わせ場所に着けば大丈夫。いつも私を助けてくれる、エクソシストは先に待ってくれていた。
「おまたせ! ごめん待った?」
「全然! 今きたばっか」
もう期待している自分がいる。
「あれ、いつもと髪型違うじゃん」
「うん、ちょっと変えてみた! ……どう?」
「可愛い!」
私のエクソシストは、明るい笑顔とその言葉で悪魔を祓ってくれた。
いずれ悪魔はまた戻ってくる。けれどしばらくは、彼の言葉で、私が出せる一番綺麗な笑顔を、彼に見せられる。
街ガラスの悪魔 ギブミーアイデンティティ @give-me-identity
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます