わたしの在り方

とも

第1話

私は中学生の時、何故この世界に生まれてきてしまったのだろうと感じていました。死ぬ勇気もないのに、生きたくもなく、仕方なく透明人間として存在しているだけのような空白の時期だったと思います。

2020年冬、毎年楽しみにしている音楽番組で、ある男性アイドルグループを知ることとなりました。正直、最初は顔からだったと思います。ただ、カッコいいという理由で彼らについて調べ始めました。そして、私に、この世界で生きる意味を与えてくれた“推し”に出会うのです。

彼は、一見冷たそうに見えてとても温かい、いわゆるツンデレで、なんでも出来そうに見えて運動は苦手。でも歌、ダンス、ラップ、作詞、作曲などの才能は群を抜いている。いつしかその存在が、私の意味となっていきました。辛いことがあっても、その笑顔や声、歌があれば大丈夫、乗り越えられる。そうして毎日に少し希望を持てるようになってきた頃、一曲の歌を知ることになります。この曲に出会えたのは、奇跡と言ってもいいでしょう。

今まで、親にも先生にも「頑張れ、前を向け、その先に未来がある」としか言われてきませんでした。心配してくれていることは分かってはいました。だけど、本当は、もっと今を見て欲しかった、未来の笑っている私より、今苦しんでいる私を。助けて、嫌、もう無理だよ。そう心の中で叫んでも当然伝わるはずもありません。でも、彼は、今を見てくれていたんです。無理に進まなくていい。自分のペースで歩けばいい。僕達がいつだって君の味方でいる。私に向けて歌われた曲ではないけれど、それは、その歌は、周りにいる誰かの言葉より確かに、身体中に響き渡りました。

彼は教えてくれました、どんな自分でも愛してあげることを、信じてあげることを。だから次は、私が彼を救う番。例え世界の誰もが批判したとしても絶対に味方でいる。幸せになって欲しいから。普通に恋をしたり、何かを見て笑ったり、空を見て綺麗だと呟いたり。

1人の力は小さくても、何人もの力が集まれば、やがてあなたを守る盾となれる。今日も明日も、その次の日もずっと、あなたが幸せに生きていけますように。世界のどこかにいる知らない誰かと願っています。

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