人外が語った怖い話

まっち

第1話 ベンチ

やぁ、僕は公園のベンチ。ハトおじさんが座ってそうなアレだよ。


実はちょっと聞いて欲しいことがあってさ。最近妙なことが起きたんだ。いや、こんなベンチしかない公園にいると毎日が暇だから、何かあると誰かに話したくなっちゃうんだよね。あれは確か、1週間前かな?




一人の男が、サンタかよって言うくらい大きな袋を持ってきて、ベンチに座った。で、袋を空にして帰ってったんだ。もともと袋にはそんなにものが入っていなかったけどね。


で、面白いのがこっから。男が去ってから気づいたんだけど、ベンチの下に、その男の一部始終を見てた奴がいたんだ!僕は、うわっなんだコイツ、趣味悪〜と思ったね。男が振り返ってたら、目が合ってたと思うよ。


″頭隠して尻隠さず″っていうことわざあるじゃん?そいつまさにそれで、頭しか隠れてなかったんだよ!ちょっと笑いそうになったね。僕、笑えないけど…。



…とまあこんな話。最近変なやつ多いじゃん?今回は僕がいるような人気のない公園だったからいいけど、みんなは気をつけなよ?


解説は下へ↓↓↓







































解説

ベンチが言っていた″頭しか隠れていない奴″それはまさにその言葉通りで、″頭″、だけがベンチの下にあったのだ。別に、ベンチは尻が出ているなんて言っていなかった。となると、大きな袋を持ってきた男は″頭″をベンチに隠した犯人である可能性が高い(ベンチが、男が去った後に頭に気づいたため)。人気のない公園が選ばれたのも、納得である。


でも、ベンチは″頭″は、男の方を見ていた、と言っていた。さらに、目が合うと思う、ということは、″頭″の目は開いていたということ。


頭部だけに切り取られた人間の目が、開くものだろうか?

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