幼くも熾烈な執着と誠実な暴力が交錯する、圧倒的に美しく残酷な純愛物語。
- ★★★ Excellent!!!
怡陽ちゃん、めちゃくちゃいい女で最高。端々の所作や言葉の選び方、プライドの高さと、それでも甘えたくなる瞬間のバランスが絶妙で、強さも儚さも併せ持つキャラクターが鮮烈でした。特に、風祐とのやりとりが最高。表面的には高嶺の花だけど、内側には凄まじい執着と情熱が渦巻いていて、それを隠すことなく発露するところがたまらなく魅力的です。尊厳を取り戻してくれるなら「全部あげる」って言っちゃうところ、あれはもう惚れるしかない。
風祐の泥臭くて野生的な言動が対照的で、それなのに彼が不器用なまでに誠実で、怡陽ちゃんを宝物みたいに扱ってるのがグッとくる。風祐に賭けると決めてからは笑いながら世界を引っ掻き回していく様子が爽快でした。風祐がどんなに醜かろうが、彼の「誠実な暴力」に魅せられて、彼を受け入れる怡陽ちゃんの器の大きさというか、歪んだ愛の深さにときめきました。
そして何より、二人の関係性が美しくて切ない。女王様と従者みたいな権力差になりそうで、実際はちゃんと支え合ってる。血を舐め合いながら確かめ合う愛が、本当にこの世のすべてになったんだな、っていう感じがして、ゾクゾクしました。怡陽ちゃんの「蹴破ってちょうだいな」のくだり、最高。二人が壊していくもの、守っていくもののコントラストが鮮やかで、一緒に幸せになろうとするのが愛おしい。
終盤の情景描写の緻密さと官能的な狂気が素晴らしくて、没入感が凄かったです。退廃と美しさ、暴力と愛が綺麗に混ざり合ってるのが印象的。余裕がありそうで、余裕なんてなくて、ぎりぎりで笑ってるような二人の空気がクセになります。惚れました。