詩集

椎名S

夢の話

夢を見た。


少年か青年か分からない。その人は別の人物から崩れた月を与えられた。

それは乾いた卵黄のような、栗きんとんのような、何か。

それを食べて少しすると、その人の腹はにわかに膨らみ、苦しみながら憤慨し始めた。

私はそれを知っていた。黄の菓子を食べると妊娠してしまうのだ。

苦しむその人を、物陰から現れた人物がたくらみどおりと、奥の深みへと突き落とす。

辺りにはその人の怒りに塗れた声が反響した。


しばらくすると無実そうな男が二人やってきた。

彼らは漁師だった。

私は嫌な予感に狼狽えた。

二人は「今日はいい獲物が多い」と海底から掬い上げた網から、様々な物を取り出した。

いくつかの肉を二人は食べた。私は叫びながら泣いた。

あの肉は、あの人の肉。

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