妖精が通る道
砂坂よつば
妖精の仕業?
警察学校を卒業して最初に所属されるのが、警察署の課のひとつ地域課である。町の交番や駐在所に勤務し、通報を受けた時はパトカーなどで現場に急行し、事件や事故の初動捜査、地域社会の安全と平穏を守る活動を行なっている。
本作主人公、
とある夕方、近藤が勤務する町、
摂津町長「た、たた大変や、大変やっ!!お巡りさん、早よぅ来てぇ〜」
近藤「え?!あの、どうしましたか?」
摂津町長「説明してる暇なんか、あられへん!!とにかく来てやぁ💦」
近藤「そう、おっしゃられても何があっただけでも言って頂けないと、動けないのですが……」
摂津町長と近藤が口論していると、交番の奥にある仮眠室から石井があくびをして、事務所に来た。
石井「ふぁ〜。騒がしいなぁ、……どないしたん?
近藤「違う違う、性転換しかけてるじゃないですか!?……大体オレはあの有名な某探偵の主人公じゃありませんから」
石井「けど、似てるやん」
近藤「どこがですか?顔も声も髪型において全て似てませんけど」
近藤の顔は新撰組で有名な近◯勇に似ており親戚の人から
「ご先祖様に似すぎて笑える」とまで言われ、27歳なのに特徴あるバリトンボイスと言われている。
石井「イニシャル」
近藤「イニシャル?!それならオレじゃなくても大勢いるでしょ」
さっきから黙って聞いていた摂津町長が怒りで肩を震わせていた。
摂津町長「お前らのしょーもない漫才なんかどうーでもえぇねん!またあの場所で交通事故が起きたから早よ来てや」
石井・近藤「それを早く言ってや(下さいよ)!」
近藤は運転席、石井は助手席へそして通報者の摂津町長は後部座席に座り、交番から事故現場に向かう為にパトカーを走らせた。
摂津町長の言うあの場所とは三葉町から中ノ
数分間走行後現場に着いた。十字路の中央で2台の車がお互い向かい合わせでぶつかってしまいフロントガラスが割れ道路にはガラスの破片がそこかしこに散らばっている。
中央から見て左側(三葉町側方面)で現在停まっている車のフロントバンカーの方が大きく凹み強く衝撃を受けたようだ。もうスピードでぶつかってきた三葉町側の運転手は幸い命に別状はないが衝撃の反動によりハンドルで鼻と額をぶつけて軽傷らしい。もう1台の車は中央から見て右側(中ノ町方面)の運転手は事故当時停車していたが同じ衝撃を受けた。
こちらの運転手は意識が朦朧としていて少し危険な状態らしく交通事故の目撃者である摂津町長の娘、
近藤「しかしどうしてこの場所ばかり事故が発生してしまうのでしょうね。ついこの前も起きてましたし……」
摂津町長「お巡りさんはこの場所の通り名知らへんのかいな」
近藤は頷く。
摂津町長「知らん方がえぇかもな……若い
摂津町長はにやぁりと気味が悪い笑顔を一瞬見せすぐにそっぽを向いた。
唐突に石井が真剣な目をして近藤に話す。
石井「啓ちゃんは妖精って信じてる?」
近藤「いえ、信じていませんね。妖精ってあの、海外で有名なファンタジー作品であるピー◯ーパンやシン◯レラに登場する架空の人物ですよね?」
石井「あぁ、一般的にはそう言われてとるなぁ。……実はここだけの話––––」
石井は声を抑えて近藤の耳元で話す。
石井「この交差点では女性用のサンバの衣装を着た妖精が
石井は続けて語る。
『際どい女性用のサンバ衣装“タンガ“に見惚れて時が止まったように動けなくなってしまい。必ず事故に遭うらしい』
石井「ほら、見てみ。青信号なのに摂津町長だけ動いてへんやろ」
(完)
妖精が通る道 砂坂よつば @yotsuba666
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