解ける 誤解


のぞみ。紅葉にこれを届けてやってくれ」


差し出したのは、紅葉と同年代の後輩の意見を参考にして選んだネックレス。

こないだはまた、俺のせいで紅葉に嫌な思いをさせたし、これで許してくれればいいが、

それに明日は誕生日だしな。喜んでくれるかな、


「紅葉に、これを渡すなら直接渡してきな」


「でも、紅葉は俺の顔見るの嫌だろう、」


「クヨクヨしてんなよおっさん。いい歳だろ?」


俺の嫁の秋月 望あきづき のぞみは俺と違って楽観的な性格でこんな俺に尽くしてくれる最高の嫁だ。


「そもそも、お前が原因でこうなってんのにお前が行かなかったら意味ないだろ」


「確かにそうだけど、」


「てかもう紅葉に連絡したし、、おっ既読早〜い」


「っおい!」


かず。なんか文句あんのか?」


秋月 和氏あきづき かずうじ43歳。

結婚生活約20年。未だに嫁の尻に敷かれています



「ねえ、レイちゃん。」


「どーしたの紅葉ちゃん。」


「明日、お父さん達来るみたい」


「えぇ、マジすか」


「マジらしいよ?ほら」


差し出されたスマホの画面には

急で悪いけど明日会いに行くね。

と書かれたメッセージが送られてきていた。


「紅葉ちゃん的にはこないだ盛大に言い合いしてたけど大丈夫なの?」


「まぁ、こないだは私も言い過ぎちゃったし、パパ実はちゃんといいひとなんだよ?」


「でも、いつもの話し方的に大変そうだなって思うんだけど」


「うちのパパ極度の心配性だからね、それに口下手でそのせいで色々と空回りしちゃうの」


「あちゃ〜、それはまた違う意味で大変だね」


心配性で口下手。

もう聞くだけで苦労する組み合わせだとわかるよね、あれこれ心配で口出すけど、口下手だから誤解されて〜ってのが結構ありそう、


「そうそう、私はあんまり知らないんだけどパパが学生の頃はそれが原因で鬱病なっちゃった〜ってママも言ってた」


「そうなんだ、なら明日もちょっとは安心できるかな」


「喧嘩にはならないと思うんで安心してくださいよ」


病院で普通喧嘩なんて起きないはずなんだけどね、


「わかった、じゃあそろそろ私仕事に戻らないと、おやすみなさい紅葉ちゃん」


「おやすみなさい」


紅葉ちゃんはああいったけど、少し心配だし

紅葉ちゃんのご両親の第一印象良くないからなぁ、



面会時間になってすぐ、10時10分ぐらいにパパとママが病室にやってきた。


「紅葉来たぞ、」


「おはよ」


「おう、」


パパは必死に隠しているけど後ろに紙袋がチラ見えしてる。私への誕生日プレゼントかな?


「ふふっ」


私は笑みが自然と溢れてきて、それを抑えることが出来なかった。


「どうしたの紅葉ちゃん。なんかいい事でもあった?」


私のベットにぽふっと座ったママもずっとニヤニヤしていて、パパもどこか恥ずかしそうにしていた。


「紅葉これ、」


「なにこれ」


「誕生日プレゼント、俺が選んだやつ」


「ありがとう。、、、すごい可愛い!」


パパから貰ったネックレスは小さなピンク色のハートが付いていて、金属光沢でキラキラしていて、

妖しい綺麗な雰囲気だ。


「その、こないだは悪かった」


「ううん。全然気にしてないよ、私もごめんね言い過ぎちゃった」


「いや、お前が謝ることじゃないんだ、、」


「まぁまぁ、それ以上やるとまたあんた変な事言うんだからお互い謝ったし終わり、いいね?」


いつもパパはママの尻に敷かれてるし、

ママはパパのことなんでも知ってるからこういう時はすごい頼りになる。


「紅葉ちゃん、誕生日おめでとう。本当はもっと居たかったんだけど私達これから仕事だからもう行かないとなの」


「そっか、じゃあ最後にひとつお願いがあるんだけどいい?」


「うん、なに?」


「私、今度友達と紅葉を見に行きたいの。いつ行くとかどこに行くとか決まってないけど、今のうちに話しておきたくてさ」


「その友達に迷惑をかけないようにできるのか」


「それは、」


「友達に迷惑をかけてしまうという自覚があるならやめた方がいいとは思うが、紅葉。お前ももう大人になるしな、自分で考えて友達を困らせないようにするなら楽しんできな」


初めてパパが外出を許可してくれた。

それに外出禁止の理由も話してくれた。

本当に私のパパは口下手だな、、


「分かった。楽しんでくるよ」


それでもやっぱりパパは最高のパパだ。

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