【KAC20253】ここでも胸キュンシチュエーションに上回ってくるの?
ゆうり
桜吹雪が連れて来てくれたのは
自分だけに妖怪や妖精が見えたらいいなと思ったことが、男なら一度はあるだろう。ないとは言わせない。
こら、そこの君、クールぶるな。
恥ずかしがる必要はない。男ならだれしも通る道なのだ。
ちなみに俺が好きなのは、幽遊〇書の雪菜ちゃんだ。危うい儚げさを纏った美人に俺はめっぽう弱い。
ごほん、話が少しずれたので戻そう。
もし、俺にしか見えない妖怪や妖精(かわいい)が現れた場合のこともきちんとシミュレーション済みだ。
俺が森で迷っていると、突然彼女は現れた彼女が助けてくれる。
実は彼女の正体は、桜の木に宿る妖精だった。
彼女は「助けたお礼に、契約して?」と言って、俺の頬にふわりと唇を押し当ててくる。
そして、そこから俺とさくらちゃん(仮)の秘密の関係が始まっていく。
いつでも突然キスをされてもいいように、スキンケアは念入りに行っている。もちろんブレスケアにも余念がない。
さあ、いつでも現れていいよ!妖怪さん(かわいい)、妖精さん(かわいい)!
「お望み通り現れてやったぞ」
え?
突然強い風が吹いて、桜の木々がざあっと揺れた。
俺の前で桜吹雪が舞う。
まさか、本当に現れてくれたのか……!?
いったい、どんな子が俺の前に……。
しかし、目の前には誰もいない。振り向いてみても、人っ子ひとりいない。
「おい、ここだ。ここ」
「ここ?」
「下、下を見ろ」
俺はゆっくりと下を見た。
するとそこには――。
「いや!!めっちゃ鳥じゃん!!!!」
「失礼な。鳥は鳥でも、その辺の鳥じゃない。私はカクヨムが生み出した有名なと……」
「鳥の降臨は求めてないんだって!俺が求めてる降臨は、妖怪(かわいい)や妖精(かわいい)なんだよ!」
「いや、私も妖精(かわいい)の部類だろう」
「いや、鳥!ただの喋る鳥!」
なんだよ、期待したのに!
ただの鳥じゃスキンケアもブレスケアの意味もない!
「颯太、ちなみに私は特別な人間にしか姿が見えない」
「そのセリフは、さくらちゃんから聞きたかった……」
「桜の妖精はイケメンの前にしか現れない。残念だったな」
「おいこら鳥。焼き鳥にすんぞ」
くっそー。春休み初日だから特別ななにかがあるかもと期待したのに、喋る鳥と遭遇かよ。
これなら、あの子と遭遇した方が……。
「颯太?」
春の柔らかい風に混じって、あの子の声が聞こえた。
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