真面目な阿澄ちゃんにえっちなことを教えてたら、私好みの隙だらけ小悪魔になっちゃってどうしよう!?
おんたけ
阿澄ちゃんがタイプすぎてどうしよう!?
第1話 「泉のせいなんだよ?」
「いーずみっ」
明らかに相手を意識した、胸焼けしそうなくらいに甘い声。
意図的に出されたものだと知りながらも、私がそれに抗うことはできない。
「……なに?」
「ふふーっ、教室で堂々とスマホゲームだなんて、先生に言っちゃうぞっ?」
ふんわりとした甘い吐息が、教室の隅に腰掛ける私の耳に流し込まれた。
私の机に腰掛けた
行儀が悪いだとか、そんな野暮なことを言う気にはなれなかった。
そんなことを口にして、阿澄ちゃんのサービスを無駄にはしたくない。
「で、なんのゲームしてたのかな?」
くいっ、と小ぶりな頭を傾けると、阿澄ちゃんは私の顔を覗き込んできた。
細くて艶のある髪が上下に揺れて、甘い香りが私の鼻先を撫でる。
いちいち仕草が可愛い。可愛すぎる。
計算し尽くされた可愛さは、否応なしにその価値を主張してくるから困ってしまう。
「……別に。ただのRPGだよ」
「ほんとかなー? 目、逸らしてるよ?」
それは、阿澄ちゃんの顔を見つめていると大変なことになっちゃうからなんだけど。
「もしかして、人には言えないようなゲームだったり?」
にんまりと頬を緩めて、阿澄ちゃんはいじらしく私の鼻先をつんつんする。
弄ばれているだけなのに、不思議と嫌な気はしない。
このままずっと答えなければ、この時間が永遠に続くのかな、とも思ったけれど。
阿澄ちゃんに嫌われるリスクを天秤にかけることはできない。
「そんなことない。王道な奴だよ。……あ、でも」
言いかけて、私の言葉は止まった。
「でも?」
「……でも、確かに
阿澄ちゃんの言う通り、このゲームにはそういった内容が含まれているのを思い出した。
それは仕様とかではなく、私の意思によってそうしているものだ。
それだけに、進んで他人に言って回りたいものではない。
「え、え! それって、えっちなやつ?」
「……食いつきすぎ。思春期?」
まるで、初めてそういうことに触れた中学生みたいだ。
あながち間違いではないけれど、阿澄ちゃんみたいな女の子から"えっち"なんて言葉を聞くと、少しドキッとしてしまう。
ふわっ、した甘い香りと共に、阿澄ちゃんの顔がより近づいたのを感じた。
「思春期っていうより〜……」
机に前のめりになった阿澄ちゃんは、そのまま両腕を私のうなじへと伸ばした。
抱きつかれるような形になって、私は固まったように動けなくなる。
なに。何が起きるの。
感情の出にくい私だから、きっと周りの目には、いつも通りの無表情に映っているのだろうけど。
焦りと興奮で、胸はどくどく脈打っている。
まずい。限界かも。こんなふうに抱きつかれたら、私だって我慢できない。
「っ」
くいっ、と小さく身体が抱き寄せられた。
私は阿澄ちゃんの胸に顔を埋められて、息もできないくらいの幸福に押しつぶされる。
けれどそれを感じるよりも早く、阿澄ちゃんは抱きかかえた私の耳元に唇を向けた。
「––––発情期、かな」
「……っ」
艶かしく囁かれる、色気に満ちた阿澄ちゃんの声音。
細く伸ばされた吐息が、私の本能をいやらしく刺激する。
「発情、してるの。私、
クラスメイトには絶対に聞こえないくらいの声量で、ぽそぽそと口ずさむ。
漏れる吐息は熱っぽく、その頬は仄かに赤い。
阿澄ちゃんは、なんて小悪魔なんだ。
私のペースを奪って、その気になっちゃうようなことを、艶のある唇で語るなんて。
そんなの、あまりにもえっちだろう。
「イケナイよね……。でも、泉のせいなんだよ?」
それは、よく理解している。
全部、私のせいだ。
私のせいで、あんなに真面目で大人しかった阿澄ちゃんが、こんなにもえっちな小悪魔になってしまった。
「……ね。どうかな? 私は……泉の好きな女の子になれた?」
言葉の一つ一つを、丁寧に紡いでいく。
一音一音が耳から脳に染み渡って、よからぬことばかりに思考を奪われてしまう。
それに、さっきから阿澄ちゃんはシャツ越しに私のお腹を指でなぞっているのだ。
いじらしく立てた細い指先で、つつくように私の肌を押し込む。
かと思えば、何かを思いついたように指先で円を描く。
あぁ、もう––––。
「泉? どうしたの? もしかして緊張して––––ふぇっ!?」
限界に達した私は、机に腰掛けていた阿澄ちゃんを強引に引き寄せた。
がたんっ、という鈍い音と共に、私は求めて止まない唯一無二の肉感を手に入れた。
「え、ちょっと……!」
膝の上に乗せて、強く抱きしめる。
阿澄ちゃんは、やっぱり温かい。それに、良い匂いがする。
「……好き」
「〜〜っ! が、学校っ、学校だよ……っ!?」
そんなのは無視。阿澄ちゃんが隙だらけなのがイケナイんだ。
ぎゅーっ、と阿澄ちゃんの柔らかい身体をより強く抱き寄せる。
シャツがくしゃくしゃになるのも気にしないで、私は阿澄ちゃんの胸に顔を埋めた。
「っ、だ、だめだってぇ……!」
「詰めが甘いよ。小悪魔を演じるなら、最後まで攻めないと」
でも、隙のあるえっちな女の子って堪らない。
いつも攻めてくるくせに、いざ自分が攻められると呆気ないとか、それこそえっちだ。
本当は私好みなんだけど、阿澄ちゃんをここまで仕上げた教育者としては、咎めておくべきだろう。
「ぁっ」
背中に回した腕をきゅっ、と締めると、阿澄ちゃんは小さく声を漏らした。
阿澄ちゃんの声は、本当に可愛らしい。
意図的に出す甘い声も、本能から漏れる濡れた吐息も。
こんなにも好きだと思えるのは、阿澄ちゃんを置いて他にいない。
「……可愛い」
「〜〜っ! げ、ゲーム! ゲームの話しようよ!?」
本当に、よくもまぁこんなにも私好みな隙だらけ小悪魔ちゃんに育ってしまったものだ。
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