終わらぬ夜に頬を寄せて
保紫 奏杜
見えない導き
「あたし、妖精さんが見えるの」
前方を走る娘の後を追いながら、私はいつか聞いた言葉を思い出していた。
娘の足は迷いを見せない。まるで見えない導きに従っているかのように、暗い路地を曲がっていく。
簡単な仕事の
娘が
それが、この有様である。
気付いた時には
娘が路地壁にある扉を
追手に追われているこんな時ですら、楽しげだ。恐怖というものを
建物内の階段を
娘に対して怒りは感じなかった。おかしな娘の後を追ったのは、この私なのだ。
誰しもに訪れる終わりが、やって来たということなのだろう。
追手が階段を駆け上がってくる足音が聞こえる。
諦めかけた時、突然、娘に勢いよく抱き付かれた。思わぬ事態に体勢が崩れ、背中から宙に投げ出される。
「ミ――」
視界いっぱいに、星空が広がった。
ああ、私もここまでか。
だが、この
衝撃はすぐに訪れた。予想したよりも、ずっと小さな衝撃だった。
体を起こして周囲を見回せば、エアで
「お前が?」
問えば、嬉しそうな
「妖精さんが教えてくれたの」
だが、そんな絵空事のような能力を持っている存在を私は知っている。
「そうか。妖精さんがな」
喉元から、笑いが込み上げる。
私は甘えるように抱き付いてきた娘を抱き締め、その髪に頬を押し付けた。
終わらぬ夜に頬を寄せて 保紫 奏杜 @hoshi117
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