第2話 運命の光

それから数年が過ぎた。リュシアンは少年から青年へと成長していた。以前は穏やかな笑顔を絶やさなかった彼だが、今はどこか影を背負ったような表情をしている。

カトリーヌが消えたあの日以来、リュシアンの人生は一変した。彼は村の生活を捨て、各地を渡り歩きながらカトリーヌを探し続けていた。しかし、どんなに努力しても彼女の行方に繋がる手がかりは見つからない。


「どこにいるんだ、カトリーヌ……」


森の中で呟いた声は、彼自身に問いかけているようだった。その時、不意に背後で風が吹き抜け、木々のざわめきが耳に届いた。


「……なんだ?」


辺りを見回すと、森の奥で何かが光っているのが見えた。淡い青白い光が、静かに脈打つように輝いている。


「カトリーヌ……?」


心の奥底でその名を呼びながら、リュシアンは光の方へと足を進めた。光は彼を誘うように深い森の中へと導いていく。

やがて辿り着いた先には、古びた石の遺跡があった。周囲は鬱蒼とした木々に囲まれ、長い年月の間、誰の手も触れられていないようだった。遺跡の中央には奇妙な紋様が刻まれた円形の台座があり、その上で青白い光が揺れていた。

リュシアンは台座に近づき、そっと手を伸ばした。


「……これは一体?」


光に触れた瞬間、彼の周囲に眩い閃光が広がった。風が吹き荒れ、耳をつんざくような音が響く。


「な、なんだこれ……!」


その光の中で、リュシアンは目を見開いた。

彼の頭の中に、次々と断片的な映像が流れ込んでくる。フランス革命の動乱、人々の叫び、宮殿の輝き、そして――カトリーヌの姿。


「カトリーヌ!」


彼が叫んだ瞬間、足元が崩れるような感覚が彼を襲った。そして意識は闇に沈み込んでいった。

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