第14話水

「水をくれ!、うっ、取り急ぎ頼む!、ルーの庭で吐いちまいそうだ」

飲み相手の男が地面に横たわりながら大声で水を持ってくるよう訴える。

「はいはい、今お持ち致しましたよ」

さっきのお盆の人が大きなグラスいっぱい2杯の水を持ってきた。

「ありがとう。•••••うっ」

結局吐きかけている。

「お前、これ水じゃないだろ!」

どうやら、水じゃなくて酒だったようだ。

やはり、顔色がだんだん青くなっている。

「てめぇ、お前吐くなよ!、吐いたら出禁にするからな!」

聞いていたのか銃片手にルーがこっちに歩いてくる。

「おいおい、待て待て、分かった。こいつの守りするから」

男が僕を指す。

青かった顔は変わらなかったが、だんだん、喋りが饒舌になって行っている。

「じゃあ、頼んだ、わかるだろ?あと、伝言であいつがお前のネックレス俺いらないからそいつにやれって」

「分かりましたよ」

男は俺にネックレスを被す。

かなり重い。首が重くなりそうだ。宝石がぎっしり詰まっているため目も痛くなりそうだ。

「お前、酒飲まないのか?」

「まだ飲んだことすらないよ」

「そうなのか?じゃあ、ここで初めて飲んでみようぜ」

カッコづけた顔をしている男はフラフラしていて

「いてぇ!」

思いっきりこけた。ダサい。

男は酔っ払いすぎで立てないのか、カタツムリのように地を這っていく。

「汚い•••」

「おい。なんか言ったか?」

「いや何も」

男は音楽が流れて、人達が踊っているのを、這いつくばって避けながらカウンターにたどり着く。

「あそこのやつに本物のウェルカムを頼む」

そう男がカウンターにしたから言うと

「気持ち悪いからどっか言ってくれないかな」

と小声で言いながら女の人がグラスに注ぎ始める。

「はいどうぞ」

僕に向かって、泡がいっぱいの飲み物を笑顔で出してくれる。

下にバレないギリギリのところで、下を指差していて目は笑っていなかった。

多分どっかにやれってことだろう。

「ぐぅー」

??、男はカウンターの前で力尽きていた。

まぁ、男がいないと僕は何もできないので仕方なくカウンターに座る。

「お兄さん、初めてですか?」

「•••はい」

「じゃあ、私が飲み方お教えしますね」

女の人は僕が初めてと聞いて、瞬間で目を輝かせルンルンで手本用のものを注ぎにいく。

多分自分が飲みたいだけだ。


「おい!、地面に伏せろ!」

『バンッ』

「きゃあ!」

銃声と悲鳴が同時に聞こえた。

その瞬間、飲み勝負とは違う空気の静かさが起こった。

「何だ!••••あぁ」

男がいきなり起き上がり、銃声の方を見て何かを感じたのかそっちに向かって歩き出す。

何かものすごくまずいことのようだ。

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