日常から非日常へ…。

第2話

「紅花魁、いつになったら体をあわせてくれるのか?」

狭い箱のなか、蝋燭の灯りがゆらゆら揺れている。

「わっちは、このように体が弱いでありんす。」

紅は、小さく咳をする。

「紅葉に、夜の相手は頼んでおりんす。旦那さんもそれはご承知のはず。」

紅はそう言って、客の下半身を白く塗られた細い指先が徐々に潜っていく。

やがて到達したイチモツを人差し指でゆっくりと時間をかけて登っていく。

「わっちの手と口でよければいつだって、旦那さまのお相手をしたいでありんす。」

客の耳元で甘く囁く。

「もう、我慢ならん!!」

唇が乱暴に重なる

客の手が紅の胸元を弄る。

「やっ…、わっち、胸が小さいから…」

切なく震える紅に、客はたまらなくなりイチモツがグンと大きさを増す。

「えぇい、わかった!今宵はそなたがこれをどうにかしてくれ!」

「わかったでありんす。では…」

乱暴に唇を重ねながら、紅の手は緩急をつけて客を高みへと昇らせていく。

「うっ…!!」

放たれた白濁液を、紅は指できれいに絡め取ると、愛おしそうにすべて舐め尽くしていく。

そして、物欲しそうに言うのだ。

「もっと…、次は口に直に…」

高みを昇ったばかりのイチモツが、再び血を滾らせていく

「今宵は、朝までそばにいてくんなし…」

「うっ…、可愛いやつめ」

こうして夜は更けていき、朝を迎える。

「ではまた来るぞ、紅」

「はい…。お待ちしておりんす。」

深く頭を下げた後、客の姿が見えなくなるまで見送る。


「だぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~!!!」

店に戻り第一声がこれである。

先程までのしおらしさは、何処へやら…。

だるそうに、昨夜の名残の接吻跡をひっかく。

見世の女将が、それを見て溜息をつく。

そして紅葉が隣で微笑む。

これが、この見世の日常。


「紅姐さん、今のうちに湯屋へ行きましょ♪」

大きい背中を丸めて、机に向かいながら返事をする。

「あぁ、手紙も書き終わったし。葉ぉ~、これを若旦那に届けてくれ~。」

「はいでありんす。」

そうして、「営業」という名の恋文を送る。

「さて、紅葉。待たせたね。」

「はい、姐さん。」

そうして、いつものように2人並んで、道をゆく。

「ばっちゃん、いつもすまないね」

湯屋へ着いて中へ入り、番頭座布団に座る年齢不詳のばっちゃんへ声をかけると、そそくさと2人は着物を脱ぎ棄て、しばし湯の中でくつろぐ。

「それにしても、どうしておれと風呂入っても平気なんだい?」

浴槽のお湯をかけ合いっこしながら紅葉に尋ねる。

「わっちは、姐さんのことそういう目で見てないから。」

早く上がれる様にと、いつも髪・体と洗うのをいつも手伝ってくれる、優しい紅葉。

「そろそろ、ほかの客がくるよ!」

「は~い、ばっちゃん」

そうして、ほかほかに温まった2人は見世へ戻る。

食事を摂り、化粧をして

またこの世界の1日が始まる。

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