アハハと笑えると共に、「お笑い」にまつわる時代の変化も見直せる、すごく読み応えのある作品でした。
お笑い芸人としてもっと売れたいと考え、「泉の妖精」のもとを訪ねた主人公(というテーマの漫才ネタ)。
妖精は笑いを取るために「アドバイス」をくれるのだが、どうも時代の流れにはついていけていないようで、感性がことごとく古い。
今の時代だとNGな話をガンガン出してくる妖精のセリフの数々に、気づけば何回も笑わされることになりました。
芸能界にとってのかつては「当たり前」だったことと、今の「当たり前」だったこと。
こういうお笑いの新旧が「ボケ」と「ツッコミ」という形で描かれて行くという形式が、とても斬新で最高に面白かったです。
過去の時代の話をそのまま通そうとするのは、現代ではもう「ボケ」としてツッコミを入れられるものになっていた。そういう時代の変遷をしみじみと感じさせられることにもなり、「おお!」と感嘆させられることにも。
純粋にお笑いとして読んでも面白いし、新旧の違いを浮き彫りにしていく批評性もあるという、なんとも贅沢な読書体験が得られる作品です。