カクヨムのトリさん迷作劇場 『白雪姫』

無月兄(無月夢)

第1話

 ある日、お妃様は魔法の鏡に聞きました。


「鏡よ鏡。カクヨムで一番面白いお話を書くのは誰?」


 お妃様は、カクヨムユーザーだったのです。


「面白さの基準は人それぞれなので一概には決められません」

「じゃあ、あなたが一番面白いと思うカクヨム作家は誰?」

「それは、白雪姫です」

「なんですって!」


 お妃様の義理の娘の白雪姫も、カクヨムユーザーでした。

 自分より面白いと言われたお妃様は激怒。白雪姫を殺そうとします。


 命がけで逃げ出した白雪姫は、森の中で七人の小人の妖精と……ではなく、カクヨムの妖精のトリさんと出会いました。

 トリの降臨です。


「こういう事情で、お城に帰れなくなったのです」

「それは大変トリ。うちで暮らすといいトリ」


 どうやらトリさんは、語尾に『トリ』ってつけるというキャラ設定のようです。


 それから白雪姫は、カクヨムで小説を書きつつ、トリさんと平和に暮らしていました。

 しかしある日、なんとしても白雪姫を殺そうとするお妃様が、リンゴ売りに化けてやってきました。

 それからなんやかんやあって、毒リンゴを食べた白雪姫は死んでしまったのです。


「白雪姫が死んでしまったトリ。せっかく、彼女の書いた小説の書籍化が決まって、これからますます人気が出るところだだたのにトリ」


 トリさんにはショックでなりませんでした。

 しかし、トリさんは諦めませんでした。普段はカクヨムの妖精としてみんなを応援するトリさん。ですがこの時ばかりは、白雪姫を思って、自ら物語を執筆したのです。

 そして、完成させた後、白雪姫の亡骸に向かって言いました。


「すっごく面白い小説ができたトリ! これを読まずに死ぬなんて大損トリーっ!」

「えぇーっ! 見たい見たい!」


 死んだはずの白雪姫が、ガバッと飛び起きました。小説を読みたい気持ちが、死をも超越したのです。


 こうして生き返った白雪姫は、その後もカクヨム作家として活躍し、書籍化した彼女の作品は、ベストセラーとなりました。


 一方お妃様は、これまでの悪事がバレて投獄。そしてカクヨムの妖精であるトリさんの権限で、カクヨムのアカウントを削除されるという、この上ない罰を与えられましたとさ。


 めでたしめでたし。




王子「僕の出番はないの?」

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カクヨムのトリさん迷作劇場 『白雪姫』 無月兄(無月夢) @tukuyomimutuki

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