あこがれ
銀河24時
第1話
テレビを観ると、今日は秘境路線バスの旅に、映画の宣伝でゲストとして出演している彼が映る。
大御所俳優陣、大御所芸人さんに混ざって、町中を歩き、パン屋さんも和菓子屋さんも、お肉屋さんも、八百屋さんも皆彼を知っていて、町中を歩く女子高生からお年寄りまで、皆柔らかい声援をあげてその旅を見守っているのがわかる。
歌と演技で世界中を魅了する彼、レジェンドアイドルは、小さな仕事でも町の活性化に繋がるのではと、宣伝に参加してくれるらしい。
彼、その人の名は
そしてこの町、彼の出身地、私が住んでいるこの町には、この町を守る魔法少女がいる。かくゆうその魔法少女とは私、
悪行三昧グループから町の秩序を守る役割で、毎日町ではニュースコーナーで私の活躍が取り上げられていて、私はそのニュースに映っている。
あこがれって尊い。
私にも彼と同じくファンがいて、町の皆さんから魔法少女として事務所にファンレターをいただく。学生さんたちが私の魔法の行いを、「尊敬します」「あこがれです」と言ってくれる。
そして…
実は私、この町の魔法少女ベリーベリーは、彼、湊界からファンレターをもらっている。私のあこがれ、世界のアイドル・界も私のことを「あこがれ」だと言ってくれるのだ。
彼は身分を明かすべく、住所はちゃんとプロダクションから出されていて、毎週のようにファンレターをくれる。
私の小さい行いの町のニュースの情報を、毎日確かめていてくれるらしいのだ。
「あなたのように町の人を助けられる、町の人を勇気付けられるアイドルになりたい」
と、いつもいつもファンレターに書いてくれる。
彼からファンレターをもらう度に胸がキュンキュンする。
悪行で横行するグループの中には、あるおばあちゃんが丹精込めて育てている小さな畑にわざと、タバコの吸い殻を落として行くやからもいる。
私はそういうやからの現場を抑えて、そういう横行三昧をさせないように魔法をかける… そんな小さな魔法を見逃さずにいつも感動してくれる彼は、私をファンレターで励まし、褒めてくれて。
そんな小さな手助けを見逃さずに見ていてくれる彼。
小さな行いを褒めてくれる彼を私は尊敬している。
「今度お茶でも。アイドル同士、町中で堂々と」
と書いてくれる彼が、私は好きだ。
彼にあこがれるファンをがっかりさせないためにも、私もちょっぴり彼への魅かれる思いをつつましく隠して、彼が言うように、堂々と町中で彼とお茶したい。
彼にずっと書いていない返事を書かなきゃ。
私のあこがれ、湊界さんに。
「あなたのように小さなことに気づけて人を励ませる人になりたい。あなたこそ私のあこがれです」
って書こう。
あこがれ 銀河24時 @ginga24
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