第23話:連戦

「天使軍団の第2波がやって来る、急いで残敵を掃討して喰らえるだけ喰らえ」


『『『『『おう!』』』』』


 克徳は戦線を前に押し出すかその場に留まるか、一瞬だけ迷った。

 人々への被害をできるだけ少なくしようと思ったら、戦線を前に出してできるだけ本土から遠くで戦いたい。


 だが、本土から遠く離れれば離れるほど、援軍はもちろん補給物資を送るのにも時間がかかってしまう。


「統合幕僚長、敵の数は分かるか?」


「はっきりと分かりませんが、衛星からの映像を分析した範囲では、最初の5倍の天使が攻め込んで来るようです」


「1つの軍団となって攻め込んで来るのか?

 それとも幾つかに分かれて、南北から攻めて来るのか?」


 克徳は、天使が軍団を別けて攻め込んで来る事を恐れた。

 アリューシャン列島方面から北海道に攻め込んで来る部隊と、硫黄島方面から東京に攻め込んで来る部隊、フィリピン方面から沖縄に攻め込んで来る部隊。


 5倍の天使軍団を3方面から攻め込ますだけで、日本は対応に困る。

 克徳が直率する神使たちを3つに分ける事はできるが、それでは克徳が直率する部隊以外は、天使軍団を全滅させる事は難しい。


 何とか勝つ事はできても、全滅させるのは難しい。

 本当かどうかは分からないが、天使軍団の兵数を1億とした黙示録がある。

 もしそうなら、4使の熾天使が2500万ずつ率いている可能性がある。


 最初の熾天使が率いていた天使は100万ほどの天使を率いていた。

 克徳なら雑魚と言える天使や大天使が圧倒的に多かったが、そんな雑魚でも自衛隊が防ぐのは難しい。


「今の所、軍を分派させる動きはありません」


「海中を進んでいる天使軍団はいないか?」


「絶対とは申し上げられませんが、衛星からの情報ではありません」


「米国と欧州は、衛星の情報提供を続けているか?」


「いえ、こちらからの問い合わせを無視しています」


「そうか、核攻撃に備えてくれ、核攻撃が行われたら、迷わず報復核攻撃を行う」


「了解しました」


 総理大臣に就任した克徳は、衆議院の全会一致で非核三原則を廃止した。

 急いで核兵器の開発を行い、ICBMを中心に戦域核兵器と戦術核兵器を開発した。

 著しい物資不足だったが、苦心の末にある程度の成功を収めていた。


「全世界のみなさん、日本が滅ぶかもしれない大ピンチです。

 邪神の走狗、天使軍団が再び攻め込んできました。

 異教徒を邪教徒と決めつけ、滅ぼそうと攻め込んで決ました。

 先ほどの5倍の天使軍団が、日本人を滅ぼそうとしています。

 日本が滅んだら、次はどこに攻め込むか分かりません。

 このままでは邪教以外を信じる人々が皆殺しにされてしまいます。

 どうか私たちに応援のお祈りを送ってください、お願いします」


 5倍の天使軍団が小細工する事なく正面から攻め込んで来た。

 ギリギリまで殺した天使を喰らっていた神使たちが、正面から迎え討とうとするが、数の暴力は大きかった。


「人類の存亡はこの一戦にあり、神の使いとして奮励努力せよ」


『『『『『おう!』』』』』


 克徳の下知を受けた神使たちが天使軍団を迎え討った。

 1使の天使も日本に向かわせないように、獅子奮迅の働きをした。


 鬼切丸や破魔剣を振るって正面の敵を斬り殺して、脇をすり抜けようとする天使には、魔力と神通力を放って殺す。


「瞬殺してやるよ!」


 何か嫌な感覚があった克徳は、魔力も陣痛力も惜しまずに戦った。

 できるだけ早く天使軍団の統率を潰す策をとった。


 日本を通過する時に、昔馴染みの守護神使から100振り以上の破魔剣と鬼切丸を補給してもらっていた。


 その魔魔剣を、魔力で強化した筋力で熾天使に放つ。

 圧倒的な速度と破壊力と貫通力を持たせて、熾天使を殺そうとした。

 熾天使との間にいた数多くの天使たちを皆殺しにしながら飛んで行く。


「「「「「極東の弱小悪魔如きに、やらせはせん!」」」」」


 熾天使を刺し貫くと思われたが、身を挺して護る天使たちが現れた。

 人間、ライオン、牡牛、鷲の4つの顔を持ち、右手に炎の剣を持つ智天使が破魔剣と鬼切丸を叩き落とそうとするが、空振りしてしまった。


 燃える車輪の姿をした座天使たちが、身を挺して熾天使を守ろうとしたが、体を粉々にされて死んだだけで、破魔剣と鬼切丸の勢いは衰えなかった。


「ギャアアアアア」


 破魔剣と鬼切丸は勢いを落とすことなく熾天使の身体をとらえ、内包されていた魔力を開放して熾天使を粉砕して殺した。


「次の熾天使はどこだ?!

 卑怯で憶病な邪神の走狗、逃げ隠れしていないで正々堂々と戦え!

 悪逆非道な信徒に力を与えて、善良な人々を踏みつけにする邪神の手下。

 俺が怖いのなら、さっさと邪神の所に逃げ帰って匿ってもらえ」


「おのれ矮小な黄色人種の分際で、主の僕である我らを貶めたな。

 生きたまま犬の餌にしてくれる、そこで待っていろ!」


「逃がさないのは俺の方だ、死に腐れ!」


 2使目の熾天使に反論した克徳は、また破魔剣と鬼切丸を放った。

 先ほどと同じように、間にいた天使たちを皆殺しにして熾天使に飛んで行く。

 

「止めろ、何としてでも止めろ、剣で止められないなら身体を張って止めろ!」


 熾天使の側にいた智天使と座天使が必死で叫ぶ。

 主天使、力天使、能天使、権天使、、大天使、天使が身を挺して守ろうとしたが、体を粉砕されて死ぬだけで、勢いを殺す事もできなかった。


「ギャアアアアア」


 瞬く間に2使目の熾天使が殺された。

 上級魔族に匹敵する強さがあるはずの熾天使にしてはあまりにも弱かった。


 だが当然の話で、邪神ですら下級魔族を斃すのに命懸けだったのだ。

 中級魔族がゲートを通り抜けていたら、邪神は死んでいたと克徳は思っていた。


 邪神も天使も、あれから必死で強くなっているだろうが、それでも上級魔族に勝てるとは思えない克徳だった。


「次の熾天使はどこだ?!」


 克徳はそう叫びながら、天使軍団の中央を前後左右上下に斬り裂いていく。

 守護神使からもらった破魔剣と鬼切丸を次々と取り出して、完全に魔力を消費する前に持ち替えて天使軍団を殺していく。


「神仏よ、斃した天使を無駄にしたくない。

 今戦っている間に霧散する魔力がもったいない。

 この場にいる魚を新しい神使を任命してくれ」


 克徳は今後の事を考えて神仏に願った。


【【【【【分かった、任せろ】】】】】


 日本の排他的経済水域は、日本の神仏の支配下になっている。

 丁度戦場にいた、回遊魚や深海魚を全て神使に任じた。

 新たな平神使は、天使の遺骸を貪り喰らって急激に強化成長進化していった。


「行かすな、何としてでもこの場で滅ぼせ、追いかけてでも滅ぼせ」


 克徳は次の熾天使を探したが、大して強い天使がいなかった。

 何度も確かめたが、この軍団にいた熾天使は2使しかいなかったようだ。


 最高指揮官を失った天使軍団は、小部隊ごとに勝手な動きを始めた。

 その場に留まって神使に無駄な攻撃をする小部隊もいれば、日本の本土に向けて進軍する小部隊もいた。


 克徳としては、指揮系統を破壊して烏合の衆にする予定だった。

 恐怖に駆られて逃げ出してくれれば御の字だと思っていた。

 日本本土に向かう天使がいても、追いかければ良いと思っていた。


「智神使以上はこの場に留まって残敵掃討を行え。

 座神使以下は本土に向かった天使を殲滅しろ、殲滅が終わったら戦場に戻れ」


『『『『『おう!』』』』』


 戦いは克徳の思い通りに進んで、本土の最終防衛ラインに辿り着く天使は、ただの1使もいなかった。


「敵があまりにも弱すぎる、熾天使に見える敵も、実際に戦うと座神使と同じくらいの力しかなかった、どう思う」


『『『『『同じだ、弱すぎる、偽装しているのではないか?』』』』』


「俺は次の手を考える、お前たちはできるだけ魔力を補充してくれ。

 できれば俺の使う破魔剣と鬼切丸を創り出してくれ」


『『『『『任せろ!』』』』』


 克徳は再度考え直して、多くの可能性を浮かべては打ち消した。

 幾千幾万幾億もの可能性を考えて、可能性の高い順に対応策を考えた。


 邪神が見栄で、弱い天使しかいないのに熾天使の位を与えていたのなら楽だ。

 だがそうではなく、どこかに精鋭天使軍団を温存していて、有力人種を棄兵の天使にしていたら、何時何所から精鋭天使軍団が襲って来るか分からない。


「総理、第3派があらわれました!

 これまで通りのハワイ方面に加えて、アリューシャン方面、フィリピン方面からも攻め上がって来ます」

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