【理想パート】

　私のママ友A子。A子の旦那は製薬会社の研究員で結構な高給取り。A子も放射線技師の資格を持っているので、パートでもそこそこの給料持ち。セレブな生活を送っているA子から見たら、私は低賃金の福祉職員。いつもいつもマウントを取ってくる子です。

　つい先日も家を建てたので遊びに来てと言われました。おかしいな。A子の旦那は確か一人っ子。同居する予定だったのに。案の定、新築祝いに行ってみると、旦那の両親の意見など一つも聞かずに、A子が家を契約したとのこと。気の弱い旦那もA子の言いなりで、旦那のお母さんは、うつ病になっちゃったみたいでした。けれど、A子には関係のない話のようで、新築の家を自慢げに見せてくれました。

　１階はアイランドキッチンとリビング。脇には小っちゃい和室があります。すべては１つの空間になっていて、広々していて、まるでモデルハウスみたいです。他には、パントリーとトイレ。え、それしかない？

　２階に上がると、夫婦の寝室と子供部屋がありました。ここまでは普通の家だけど。なんと浴室が２階。A子は嬉しそうに言います。洗濯機が２階にあるので、すぐにベランダから洗濯が干せるって。家事の動線カットでとっても便利って笑っていました。

【現実パート】

　私は知っています。私が受け持っている利用者のほぼ９割の人が二階に上がれないのです。みんな膝や腰が痛くなったり、筋力が落ちて階段の昇降が厳しい。A子の家は老後大変困ることになる。多分、近い将来、自宅の風呂に入れなくなる。

　A子夫婦は老後、１階に浴室を作り直すか、デイサービスなどを使って外で風呂に入るしか方法はないです。私なら絶対にやらない間取り。あれは苦労すると思いました。