【KAC20252】理想と現実ってね

雪うさこ

理想と現実



 私はケアマネジャー歴20年です。私の仕事は、介護保険サービスを駆使しながら、老後、困ったことが出てきた人のお手伝いをする仕事です。老後に発生する困ったことっていうのは、多岐にわたっていて、それをすべて私が解決するわけではないんですが。それでも、何でも屋みたいに、いろいろなことを相談されるわけです。


 一番多いのは体調不良の話。私もそうですけど、みんな年を取れば、どこかしら悪くなる。生まれてからずっと働き続けてくれている体ですもの。不具合が出るのはおかしくないですよね。


 歩けなくなったから困る。退院後の生活に不安がある。認知症になった。ガンになった……。いろいろな相談が舞い込みます。


 他にはお金の話。年金が少ない。負債がある。不動産の処分どうしようか。認知症になってお金の管理に不安がある。税金関係の手続きが滞っている……。息子さんの負債の相談をされたときは、さすがにお門違いだと思ったけれど、知り合いの弁護士さんを紹介しておきました。家族が潰れると、本人の介護にも支障が出るからです。


 私の仕事の範疇は法律で定められているのですが、本人の暮らしをより良いものにしようとすると、介護保険を飛び出して、様々なことに対応しなくちゃいけないのです。国は「ケアマネが勝手にやっている」というけれど。じゃあ、一体誰がそれをやってくるの? そこをしっかりしてもらわないと、これからもケアマネは24時間365日、仕事に拘束されて、様々なことに対応しなくちゃいけなくなると思います。って愚痴の一つでもいいたいくらい、私の仕事は、低賃金の割に忙しいのです。


 私は、こんな仕事をしているおかげで、人生の終わりである「老後」のパターンは無数に見てきました。だから言いたい。人生の老後に夢をみちゃいけない。あこがれをもっちゃいけない。そう言いたいです。


 

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