あの方にあこがれ 捧げる日々

丸山 令

真心99パーセント、下心1パーセント

 あぁ。どうして、今の今まで気づかなかったのかしら……! あの方を思うたび、胸の奥が疼いて、上がったり下がったりする この感情の意味に。

 自分がこれほど鈍感だったなんて、恥ずかしいですわ。


 そのことに思い至れば、先月ずっと私の心を占めていた このもやもやは、霧が晴れるように消えさっていきます。


 あの方からのお言葉が頂きたくて、来る日も来る日も必死に考え、寝る間も惜しんで努力しましたわ。

 でも、選ばれたのは別の方々。


 羨ましく妬ましい。

 あの方を唸らせ 幸せな気分にし、心のこもったお言葉を得た皆様が。


 そして、何より嘆かわしいのは、折角機会を与えられていながら、あの方のお眼鏡に叶うものを生み出せなかった自分自身。

 あの方の心に、ほんの僅かでも良いから爪痕が残せたらと願っていたのに。


 でも、いつもはこんなに残念だと思わないの。多分、私 あの方に認められたかったんだわ。


 そう。あこがれていたのね……。

 

 白磁のように透き通る真っ白なお顔や、つぶらで黒目がちな瞳、柔らかなフォルム。

 思うようにいかないことばかりでナーバスになっていた私の心を、いつも優しく癒してくれる、天真爛漫で可愛らしい仕草。

 その全てが私には無いもので、とても魅力的で……あの方のようには なれないからこそ、どうしようもなく憧れる。


 ここに集う全ての人のアイドル。


 ただひたすらに あの方を推すことしか出来ない私ですけど、願わくば、あの方の形代を手元に置きたい。 

 それを手に入れることが出来たならば、大切に飾って その姿を愛でたい。

 そして、夜にはそっと抱きしめ、ともに眠るのです。

 

 今月は、あの方のお誕生月。

 多くの者から愛されるあの方の祝宴は、一月かけて盛大に取り行われます。


 それは、私にとって最大のチャンス。


 誰もが圧倒されるような煌めく才能は残念ながら持ち合わせていないけど、努力し続けることだけなら出来るから。

 あとは運が味方してくれさえすれば、あの方の形代を手に入れることが出来ます。


 諦めませんわ。

 どんなに時間が無くても、どんな難題が降りかかってこようとも。


 捧げ続けます。何度でも何年でも。


 私は待ち望んでいます。

 あの方の形代が我が家に届けられるのを。


 そう。トリの降臨を……。

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