ルナ・アストラ-月に咲く花 

ran_

始まりの門出


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私その意味を知ったよ

扉が開くのをずっとずっと待ってたの。


『ただいま』って


わたし 寂しく無いよ

涙は胸が一杯だから流れるんだから 

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1. 確かな記憶


見渡す限りの真っ暗な空間に、私は居た。

小さな掌をまじまじと見つめる


(ここは...)


辺りを見渡すと 淡く光る一つの扉があった

目の前のその扉をじっと見つめる。

あの時の私は 扉を開ける必要はなかった

(開け方を知らないの)


内側からいつも勝手に開くから


「「おかえり! 「おかえりなさい」」


-聞こえるはずのない声

光の中に少女は笑顔で飛び込んでいく


バスケットを持って3人でピクニック

両手を広げて風を感じた


母にそっくりな真っ白い雲の様な髪に星空の様な瞳、フサフサの翼、

帽子から飛び出る耳はピクピク動いてる。


「ルナ」


走って追いかけて...体制を崩す

膝小僧が擦りむける


-ニシシ


瞳からまたポタリと涙の雫が地面に落ちる

記憶が結晶となって天へ飛ぶ


-お昼寝の時はふかふかの尻尾で寝た少女の記憶


再び雫が落ちる


-肩車して森を掛けて、子守歌を聞きながら

お日様も心地よくてその背中は安心した記憶

(パパ..)


視界が滲むとめどなく、

流れ星の様に雫が落ちる


-串で髪を溶かしてくれる時間が好きで

外で扉の前でぐちゃぐちゃにした記憶


(ママがが優しく撫でてくれるの...)


一際大きな光が包む


月桂樹の木の下で、

空の下、満面の笑みで何度も彼女は言った


-あのね、あのね今日は!-



月明かりの中、ふと目が覚める

温もりが無いとすぐ寝れなくなって 

胸に何かぽっかり空いた風にドキドキして

ベッドを降りて扉を少しだけ開けて見る、


暗くて怖くて探すの。

ちょっと不安な気持ちはやるおもい


扉の先は焚き火が少しだけ燃えて明るい


「ママ...パパ?」


燭台の側で、腰掛けながら寄り添う2人

首を少しだけ口に手を当てて向けて手招きするの


無邪気に眠るパパ、口から涎が垂れてる


「ごめんね...パパ寝ちゃったみたい」


顔をスリスリすると少しだけジャリジャリする


手を繋いで左右を見上げて私は安心したの、

ここが私の《家》

どんなに迷っても転んでもわたしは笑顔でいれる


飛ぶように大きな背中に抱き付く

《この瞬間》が止まって欲しかった。

ずっと..ずっとこのままで


《歌》が旋律が聞こえる


-沢山聞いた、本の物語

2人の冒険や出会いの話


流す涙の度に手が届かない空の向こうまで


繰り返す度に強くなるその想い

何でこんなに溢れるの?


小さな私は追い掛ける。

手を伸ばすんだ 背伸びをしてありったけ


涙が出るのは悲しいだけじゃ無い

嬉しくて胸が満たされて溢れてくるの


切なくて寂しい 言葉じゃ言えないよ

星みたいに溢れてくる

だから蓋なんてしない


物心つく前から歌ってくれたその歌を知ってる


2. 小さな翼 その光


毎朝登る、その小さな足で


「むー....また鳥さんがきちゃなくした」


ほっぺたが少し赤い、少女だった。

吐く息は白い。

白いお花を毎日摘んで、タワシで擦る

今日はカスミソウだった


パパの大好きなママの髪にそっくり


-ウシシ 


喜んでくれる 褒めてくれると願って

その子にとっては何よりも大切な場所


不細工な笑い方をする少女

1人なのに1人では無いみたいに

胸は秘めるその想いを知らずか

彼女の周りに淡い風が吹く


春が来て夏が来ても雨の時も風の時も

答えが帰らなくても話かける


(今日はね..!聞いて聞いて)


空を見上げて幼い少女は願う

パパとママが早く帰って来ます様に

願いを込めて


落ちた羽がひらりと舞う

何処の場所にも物語がある 知らないだけ

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あの頃より大きなった手を見る。

伸ばした手はまだ空をきる、

窓越しから見える空はいつまにか夜空だった

長い髪が揺れる、湿った頬を拭ってベットから降りて外に出る


石畳策の上を歩きながら、鼻歌を歌う

澄んだ声が夜空の中で奏でる

あの頃にはない綺麗な首飾りが淡くキラリと光る


ルル--ルルル♩ ラララ...


まだ歌詞のないその歌はどこか切なく

懐かしい心地がする


遠くに見える黄金色の麦畑や水舎小屋、

人々が住む街並みを見渡す


「私もね、自分の目で見て感じたい!」


手紙を読んだ直後の私を思い返す


知らない、やだやだ

(心のどこかで分かってた)


「撫でてよ!! 抱きしめてよ!!

馬鹿!!馬鹿馬鹿 やだやだやだ」


星に向かってあっかんべーをする。

(怒ってよ!!!)


誰も助けてくれなくて

でもね、涙の意味を私は知ってるよ。


1人だけど1人じゃ無いよ

決意の元に彼女は大好きな小屋を後にする


誰かに出会える、きっとそんな人を見つけて

会いに行く 笑顔で幸せになって...みんなで




3. サヨナラの先に


----手紙---


お元気ですか?ルナ


ちゃんと-ご飯は食べてる?

私達、あなたをしっかり育てられてたかしら

とっても不安、


レオがどうしても書いてほしいって言うから

あなたに向けて書くわね

最後にパパも書いたのよ!いつの間に文字を

書ける様になったのかしら?


あのね?パパと出会いは


-嫌いな雨の日に更に嫌なことがあった

1番辛くて苦しくなるの


木の下で膝を抱えて下を向いて


「あんた《雨》が嫌いで憎いわ」


「飛べないから...強い風に飲み込まれて

 寒いし冷たいし泣いてるみたいだもの」

 

 本当は誰かに聞いて欲しくて

 独り言なのに大きな声で話してた

 沢山話した、雨の中で誰も聞いてないから...

 

 顔を上げたら少年が居たの

 雨の中で雨より涙を流して

 顔が真っ赤になるなんて考える前に


 右手をつかまれて雨の世界に


 走って 走って 泥まみれになって

 その手と横側見てた

 (誰なの?)


 振り解く事ができないくらい強いのに

 強くないの


 鈍くて重くて飛んでるより遅くて

 自分が大嫌いだった

 大地を歩く自分のことが

 飛べないわたしは役立たずだもん


 その人は突然止まって振り返って指をさす


 「雨は止んで青空が広がってた」


 -雲の上は青空だった


見上げると空に虹が咲いてた。

 走って胸がドキドキして、足も痛いけど

 でも、、、そんな事より


 《なっ、綺麗だろ》

 ニシシって変な笑い方


 初めて聞いた声なのに

 降ってないのにもう止んだのに雨が流れた

 

---

 

 私たちの出会いはこれでおしまい。


ルナ、これを読んで数えで15歳になったら行きなさいセントラルの通行証

このペンダントを付けていけば大丈夫


パパもママは遠くにいるの。

描いた世界じゃないかも知れないわ


ごめんねルナ、、、沢山教えてあげたいけど

(段々走り書きの様になる...)


隠さなくて素顔でいられる世界を

皆が笑える世界は無理だけど

一瞬の時間を守りたかったの

あなたが居る、この世界を愛したから


いつかパパより好きな人が出来て...

ママより大切な存在が出来て大人の階段を登るの

ちょっとだけ、、、我儘だけど


3人で沢山笑ったあの家を

少しだけ忘れないで欲しいな

(文字が滲んでた)


あなたが大好きで愛してるわ、


(最後のその文字はパパだって分かった。

子供の私みたいに下手くそな字だったから)


『いってきます』


大切なルナへ


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その瞳は星の様にキラキラしてる

レオレグルスとアストランディア


《2人が生きた証》


失って分かる事は沢山ある

残された意思も想いも込めて命は繋がる

今日を掴む事 明日への希望


転んだら 私も誰れかにその手を差し出すの

今日もぱぱとままに願いを込めて


行ってきます 


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銀河に輝く 希望の花 ルナ・アストラ

そんな意味を込めて2人が残したその名前


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作者の一言


いつだってキラキラしてて眩しい

青空でも夜空のもとでも、

今でもそれは素敵なキラキラです。

肝心な事を言わずに包む様に表現するのは難しくて文才の無さが恥ずかしい限り...


初めて読まれる方は始めまして

過去に音大を出て演奏してた楽器弾きです、


《星の在処》と世界観は共通です

このお話には明確なテーマがあって


2話目を上げる時にその音源を投稿予定です。

https://youtube.com/@rara-y4r9z?feature=shared


下手くそな文章ですが

2話目まで読んでくれると嬉しいです。

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