百舌感情
一畳一間
『緩利沙咲と四十内かいなの関係性』
何が頭抜けているかというと、その優等生ぶりである。身だしなみは校則に違反しない黒髪を横結びにまとめ、制服の着崩しはしないことは当然。その上、武勇伝──武勇という言葉は四十内さんの
たとえば他にこんな噂がある。
──期末テストでは彼女一人で我がクラスの平均点を十点ほど上げているとか。
──創立以来こまめにマイナーチェンジされている学則の全てのヴァージョンをそらんじることが出来るとか。
──休日の外出着として制服を着用しているのは勿論、一歩とて校区外に出ないように遠回りをしているとか。
真偽はともかく、こんな内容がまことしやかに語られるような女子生徒であることは真実だ。少なくとも四十内は周りからこう見られていて、ある部分でそう要請されている。
そんな四十内さんとわたしのつながりはクラスと部活だけ。
どちらも二年ほどの付き合いになるが、まぁ同じコミュニティに所属する人は他にも居るので、別段特筆すべきことではない。
さて、四十内さんの人となりを並べ、そして数行を費やして再認したのにはわけがある。
やや冗長にもなったが、わかってほしい。
そんな訳だから、内面を把握しているわけでないし、わたしの人物評としてはあくまで外聞をなぞるばかりの筈だけど。
──けど。
けど、美術室で部活動に励むわたしの財布をかっぱらってジュースを買いに行くという蛮行をしでかしているのも、確かに四十内さんなわけで。
「さぁ! 恋愛について語らいましょう! 」
そう言って部室のドアを開け放ったのも、やはり四十内さんに相違なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます