第11回 読まなくても名作は書ける

 これまで、多読こそよいという意見をご紹介してきたが、今回は真逆の意見を取り上げる。


 読書の習慣が特になくても名作をものするひとたちはいる。

 例えば、『野ブタ。をプロデュース』 で知られる白岩玄氏はデビュー当時「ほとんど読書をしていなかった」*1と公言している。

『ひぐらしのなく頃に』のシナリオライターの竜騎士07氏も読書をしないと語っている*2


 実は、「断・読書」も、ある種確立された「作家の読書への態度」だったりする。


 有名なところでは、フランスの小説家・ポール・ヴァレリーが読書嫌いとして知られている。

 同国の作家・ピエール・バイヤールが解釈したところによると、ポール・ヴァレリーの読書嫌いの骨子は「読書の過剰が作家の独創性を奪う」というものに要約されるだろう。「ヴァレリーにとって、作家が書物をよむことの危険性はまさに他者に従属することにあったのである」*3


 読書というものは他人の頭で考えることであり、その間は自分の考えを抑えていることになる。

 もしかしたら、本なんかほっぽりだして、自らに向き合っている時間を多く取ったほうが名作を生み出せるのかもしれない。



*1 https://www.asahi.com/and/article/20180413/151193/

*2 https://sai-zen-sen.jp/works/extras/faust07higurashi/01/01.html

*3 読んでいない本について堂々と語る方法 (ちくま学芸文庫) ピエール・バイヤール (著), 大浦康介 (著) 2016/10/6

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