あこがれさん製造機

いまい あり

あこがれさん製造機

精霊のルーちゃんは今日も仕事に勤しんでいる。毎日同じことの繰り返しに少々ウンザリしながら頑張っている。親方はこの作業は単純だが時代の人気者あこがれさんを創り出す重要な仕事だと言った。


何故人気者を決めるのが大事な仕事なのかルーちゃんは理解できない。でもそんなことはどうでも良かった。


ルーちゃんはどんな仕事を与えても必ず失敗するポンコツ精霊だ。1つ前の仕事で大失敗して降格され今の仕事に異動になった。しかし、ルーちゃんはこの異動に納得できない。


「俺は悪くないのに降格だと!冗談じゃない!」


実力はないが反省の色がみえないルーちゃんには教育が必要だと感じた親方はルーちゃんの異動を考えていた。


 今日は、現在の人気者のトップ達馬たつまから、海翔かいとへと移る人気者の交代の時期なのだ。来週から海翔が注目され始め人気者になる予定だ。


人気者の移行には特別な作業が必要だ。親方は心配になってルーちゃんに確認しにきた。


「いいか。この赤いボタンを3回押して、隣の海翔のボタンを押すんだぞ!」


「はいはい。わかってますよ!やればいいんでしょ!」

去って行く親方の背中に返事をした。普段は強気なルーちゃんだが親方に面と向かって言う勇気はない。


「赤いボタンを3回押してから海翔のボタンを押す。ってことは…赤いボタンの後に俺のボタンを押せば…」


そう言って赤いボタンの後、自分のボタンを押した。

「これで俺も人気者だ!」

ルーちゃんは人気者になって多くの人にちやほやされることを想像していた。


その頃、親方は

「さて、反省しないルーをどこへ異動させるか。魑魅魍魎の世界に送って怖がらせるか。見た目は怖いが精霊には何もしないから大丈夫だろう。」


翌日からルーちゃんは魑魅魍魎のいる世界へ異動となった。普段なら精霊のことを見向きもない連中が今日はルーちゃんの側から離れない。日が経つにつれて、ルーちゃんを取り囲む魑魅魍魎の数が増えた。人気者の効果が表れてきたらしい。


日々ルーちゃんの取り合いが激化する。人気者なので独り占めしたい魑魅魍魎が増えルーちゃんの奪い合いが始まった。争いは激化し魑魅魍魎はルーちゃんを奪い合い、あっという間にルーちゃんの体は細かなパーツになっていた。

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