第8話 家族
「……いや、待て。」
結城は拳を握りしめながら、ふと大事なことに気がついた。
「こんな状況で、実力を確かめるよりも……まずは俺の家族を探さないと……!」
そうだ。いくらゲームの世界になったとはいえ、家族がどうなっているのか分からないままだ。もしこの異変に巻き込まれていないとしても、無事なのか確認する必要がある。
「天音、みんな、悪いけど俺は先に両親の安否を確かめる!」
「……っ!」
天音は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに頷いた。
「……そうね。その方が大事だわ。」
周りにいたクラスメイトたちも、はっとしたような表情になる。
「そうだよな……俺たち、家族がどうなってるかも分かってねぇ……!」
「みんな、無事なのか……?」
次第に動揺が広がっていく。
「結城、どこに行くつもり?」
天音が問いかける。
「とりあえず、家があった場所に向かう。そこに何か手がかりがあるかもしれない。」
「分かった。私もついていく。」
「え?」
「ここでバラバラに行動するより、一緒の方が安全でしょ?」
結城は一瞬迷ったが、すぐに頷いた。
「……助かる。」
「よし、なら移動手段は決まりね。」
天音がケルを見やる。
「ケルに乗って、最速で移動するわよ!」
結城は改めてケルの背に飛び乗り、天音もすぐ後ろに乗る。
「しっかりつかまれ!」
「分かってる!」
ケルが四肢に力を込め、猛スピードで駆け出した。
行き先は――結城の家があったはずの場所。
家族の無事を確かめるために。
ケルの背に乗り、猛スピードで駆け抜ける。
風が顔を打ち、異世界の景色が次々と流れていく。街並みはまるでゲームの中のようだったが、今はそんなことを考えている余裕はない。
「結城、もうすぐ家のあった場所よ!」
天音が後ろから声をかける。
「分かった、ケル、スピードを落とせ!」
ケルが減速し、ゆっくりと降り立つ。目の前に広がっていたのは、確かに結城の家があったはずの場所――だが、そこには見慣れた家がそのままの姿で存在していた。
「……え?」
一瞬、信じられなかった。
結城は急いで家の前に駆け寄り、扉を開ける。
「母さん!父さん!」
「――あら、優希?どうしたの、そんなに慌てて。」
リビングから母親が顔を出した。その後ろには父親もいる。二人とも、変わりなく普段通りの様子だった。
「……無事なのか?」
「何がよ?さっきから大きな音がして揺れたりしたけど、特に何も……。」
母親は首をかしげる。
結城は胸をなでおろし、天音も安堵のため息をついた。
「よかった……本当に。」
「優希?それに、そちらのお嬢さんは……?」
母親が天音を見て、不思議そうな顔をする。
「え、えっと……クラスメイトの天音だ。」
「あ、はじめまして。」
天音は少しぎこちなく挨拶する。
「そうなのね。まあ、上がっていきなさいな。外はなんだか騒がしいし……。」
母親の言葉に、結城と天音は顔を見合わせる。
確かに、この異変の影響はどうなっているのか、もっと確認する必要がありそうだ。
「いや……まだ調べたいことがあるんだ。」
「そう?無理はしないでね。」
結城はもう一度、無事な両親を見てから、再び天音と共に外へ出た。
「さて……次はどうする?」
天音が問いかける。
結城は空を見上げ、異変の正体を探るべく、新たな行動を決めるのだった。
EdenSlayer〜俺だけハズレスキル「豪運」×「死神」のシナジーで最強なんですけど ポルノハブ @takenokogohann
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