泥酔忍者は覚えてない
酒匂ノ 仁紀
第1話枕元にモナリザ
ある日起きたらモナリザを枕に寝ていた。
「……………………は?」
えー何これー昨日確かサークルの人と四次会まで行ったのは覚えてる。
気づいたらソファで寝ていた。
「しかし、よくできたレプリカだなぁ。
誰だぁ?こんな紛いもん売りつけたやつ……川野あたりかぁ?」
まぁ覚えてない俺も悪いんだけど…
「はぁ、今日が休みでよかった…頭いてぇ…水飲も。」
徐に立ち上がって水を飲む。
テキトーに台所にあった菓子パンをつかんでダイニングテーブルに行く。
リモコンを掴んでニュースをつける。
持ってきた菓子パンの袋を開けて食べ始める。
「あぁ、しかしどうすっかなこの絵
誰から買ったか確かめて返品するか。」
とスマホを取った時。
『盗まれたモナリザは今も行方は分からず、警察署は捜査を続けています。
また〜〜〜』
「…………」
スマホを机に置き、家にあるモナリザを見比べる
すると友人から電話がかかってきた。
『あれ?昨日帰れた?
なんかすごい酔った様子でなんか"お前ら舐めてんだろ今からすげーことするから見とけよ!"って言って店から出てったけど…ちゃんと家にいる?』
「え?……ああうん。」
『まだ酔い冷めてない感じ?
他にも財布とかスマホ…は持ってるかなんかなくなったものない?』
「うん…大丈夫あのさ。」
『ん?』
「なんか昨日買わされてた?絵とか。」
『え?変なの買ったの?だからこの前も酔った時の衝動買いはやめろって言ったじゃん!』
「いやいや、身内から。」
『なんも買わされてないと思うよ?』
「そっか……ありがと気をつけるね。」
『本当にねーじゃバイバイ。』
そう言って電話は切れた。
「……………………………もしかして盗んだ?
まずい本当に記憶がない誰も証明してくれない…いやいやまだ盗んだと決まったわけじゃないしそれに普通にどっかからレプリカ買った可能性の方が断然高いしそれにそもそもモナリザがあるはずのフランスから1日もたたないうちに日本に戻るなんて物理的に無理だし
うんそうだよねレプリカ買っただけだよ、そんな大袈裟な!そもそも親の目を掻い潜っておやつすらも盗めたことないに無理に決まってるよねー。」
めちゃくちゃに自分を納得させる理由を作った後テレビに目を移す。
『日本の総理が日本の観光客を狙いとした美術館を開こうとモナリザを買った直後の事件、専門家の話を聞いてみましょう。
そうですねー私が思うにおそらく犯人は金銭を目的とした海外犯の可能性が高いと見ます。』
その話を聞いてすぐに美術館を調べる。
「近所じゃん。」
自転車で15分のところにあった。
ピンポーン
インターホンが鳴った。
「え、まさかもうバレた?
てか本当に盗んだの?」
とりあえず扉を開ける、そこには警察官がいた。
「あぁ、すみません近くでモナリザの盗難事件があったんですけど何か知りませんか?」
見たところ若くて新人気のある青年だ。
よかったーただの事情聴取だ。
「えっと、すみませんモナリザが日本に来るって聞いたの今日の朝で……しかも昨日の夜はサークル仲間と飲んでてほぼ記憶がなくて………ごめんなさい…」
「気にしないでください!
では、気になった物音とかありましたか?
不審な人物を見たとか!」
「すみません、家に帰ったらそのまま寝ていたので…すみません。」
「いえいえ!
ご協力ありがとうございました!」
最後まで爽やかな好青年だった。
そして、我ながら俳優になれると思う。
家の中に戻って再度モナリザの絵を見る。
「まさかそんなことないと思うけど…」
なんだかそんな気がしてきた…でも本当に昨日の記憶は片鱗一つも思い出せない。
とりあえずこの絵をどうにかしよう本物だったにしろそうじゃないにしろ邪魔だし。
布を掛けて部屋の物置部屋に入れた。
「さーてとレポートやって二度寝しようかな〜
あの教授怖いんだよねー。」
まるでさっきまでのことが無かったかのように日常に戻る。
適応力は抜群のようだ。
プルルルル
また電話が鳴る
手に取ると先程電話していた友人だ。
『あのさー今日さー合コンあるんだけど来る?
あー、でも二日酔い中かー?』
「え⁉︎行く行く今ので二日酔いぶっ飛んだ!」
『お前酒強くないのによく飲むよなー。』
「いいじゃん!何時?何時?」
『ええと、今日の夜から!』
「行く!」
『オッケー』
夜になり
『かんぱーい!』
合コンが始まり、それぞれ自己紹介をした後好きなものを頼んだ。
俺を含めて男性4人女性4人だ。
「からあげ頼んでくんない?」
「分かったー。」
当然誘ってくれた友人もいる。
「ねぇーねぇー、私酔っちゃったー。」
しかも友人は顔がよく人当たりも良く財布の厚さ具合もいいのでめちゃくちゃにモテる。
てか開始10分で酔うとかどんな下戸だよ。
1時間後
「じゃあ縁もたけなわということで、今日はお開きにしましょうか!」
「えー、私もう歩けなーい。」
「私もー。」
次々と友人の玉の輿を狙う人たちがいる。
友人は他の男2人に睨まれてる。
「ごめんねー、俺こいつの介抱しなきゃいけないからー。」
そう友人がことある飲み会で俺を誘うのはこれを利用するためだ。
「あははーまだ行けるってー!」
俺は酒が強いわけじゃないのに毎回調子乗って呑むから俺の介抱を言い訳にしてる。
しかもこの時の俺の記憶はない。
「えー、行けるって言ってるよー?」
「いや、これ以上呑ませるとコイツ逝くからさー。
じゃあそういうことでー!」
友人は俺と逃げるように店を出た。
「ふぅ、助かったよー
ありがとなーまた言い訳させて貰うわ。」
「………」
「?大丈夫か?」
「俺んち今もなりざあんだよ。」
「もなりざ?ああモナリザか。何、占い?
お前酔いすぎだって。」
「ほんとだよ!
見てろよ明日になったら家にあるもなりざ元あった場所に戻してやる!!」
「へーへーそりゃどーも。占いが当たるといーですねー。
ほら、帰るぞ。」
翌朝
「やっちまったぁ………」
テレビのニュースを見て1人そう呟く
『昨日未明盗まれたモナリザが帰ってきました!
犯人は未だ分からず警察は捜査を続けています。』
「昨日の記憶は当然の如くないし、家にあった筈のモナリザのレプリカ(仮)がないし!
意味わかんねーよもう……」
するとスマホが鳴り手に取る。
『なぁ、おいニュース見たか⁉︎お前の占いめっちゃ当たるじゃん!』
「え?占い?」
『あー、記憶にないタイプか。』
「タイプってか毎回ない。」
『それもそっか!』
占いと勘違いしたらしい。
良かったーー。
てか本当に俺がやったの?まだわかんねんだけど、俺が買ったレプリカ(仮)はどこ探してもないし。
待て一旦状況整理だ。
一昨日なぜか酔った勢いでレプリカ(仮)を恐らく買った日にちょうどモナリザが無くなってて、しかも今日は家にあった筈のレプリカ(仮)が無くなっててその代わり元あった場所に戻してあった。
やっぱ俺盗んだんかなぁ。
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