第十四話
金曜日の夜。俺は珍しく家に1人だった。なぜなら杉浦が友達(男女混合)と遊びに行ったからだ。華の金曜日の夜でも友達と遊ぶだなんて、俺には考えられないことだ。まあそもそも、休日に遊んでくれるような友達もいないわけだが。...せめて笑ってくれ。
ガチャガチャとドアの開く音がした。きっと杉浦が帰ってきたのだろう。意外と早い。まだ家を出て行って2時間しか経っていない。
リビングと廊下を繋ぐドアが開いた。杉浦だ。だが、なんだか様子がおかしい。
「...杉浦、大丈夫か」
杉浦は持っていた肩掛けカバンを床に投げると、俺の腹に抱きついてきた。
「どうした?」
「アイツら、マジで許さない」
一発目から物騒だな。
「カラオケ入って少ししたらすぐ酒?タバコ?ふざけんじゃねぇよ。それはもう犯罪だっつーの。しかもセクハラまで?急に太もも撫でてくんじゃねーよ!」
ズビッと鼻を啜った。
「そんな人たちと関わってたのか。良くないな」
「そんな人たちだって知らなかったし!」
杉浦は顔を上げて、俺の顔を見ている。
「何」
「本当にそういうこと、何も知らないの?女の子に抱きつかれても恥ずかしがらないなんて」
「...どういうことだよ。」
杉浦は笑みを溢した。
「本当に知らないんだ。...分かった。私が教えたげる」
杉浦は体を伸ばし、俺の唇にキスをした。
「...!?」
「口開けて」
言われるがままに口を少し開けると、そこから舌が入ってきた。
そこから、なんだか不思議な感覚に襲われた。
杉浦は唇を離した。
「どう?気持ち良かった?」
「わ、かんない。でも、不思議な感覚だった。キモいかもしれないけど、なんか、ずっとこうされてたい...みたいな」
ふっと杉浦が笑った。すると、ぐいっと顔を近づけた。
「私ねー...今、めっちゃムラムラする。あはっ、分かんない?ふふっ、そういうところが好きなんだよなー。」
「...!」
「もう、我慢できないから単刀直入に言うね?...私としようよ」
「しようって、何がだよ...?」
「セックスだよ。大丈夫、私が教えてあげるから。」
そこからの記憶は、うっすらとしかない。
次の日。俺はベッドの上で寝返りを打った。何か、杉浦と合わせる顔がない。昨日のことを思い出すだけで、恥ずかしさが込み上げてくるようだ。
そろそろ起きあがろうかと思った時だった。勢いよく自室のドアが開いた。
「...杉浦?」
「昨日はごめん。半分無理やりだったから、怒ったり、してるかなーって思って...」
気まずいのか、ずっと下を向いている。
「いや、怒ってはいないけど、戸惑ってはいる。でも、悪くはなかったかな...」
「本当?なら、良かった...」
ほっと胸を下ろしたが、すぐにかしこまった顔になった。
「話があるの。いいかな」
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