第11話 ノーシェイプ、あるいはシェイプレスの事情、の4

ノーシェイプの見解――ダオの場合――


 ノーシェイプ(プロト1)は長年開発に携わっているダオから見てかなり優秀なロボットと言えた。「も」と付け加えたのは、それが単なる彼女の主観ではなく客観的観点からしてもそうなのだと言い張りたいがためのものだ。



 見てよ、見なさいよこのコクピット!芸術的にもほどがあるったら!



 彼女が自画自賛するノーシェイプのコアユニット――完璧なまでの『玉』型の球体コクピットは、全面オフホワイトの色彩で統一されていて、表面には曇りひとつ傷ひとつ存在しない。


 このコアユニットに様々な各種コーティングを施すことで得られる汎用性と多様性は、こと運用に当たり、あの大味でガサツなミンケイバーなんぞに遅れをとるようなことはないとダオは自負している。なんなら最近台頭してきたカネザキ重工のトゥルーパーシリーズにだって負けてはいない自信だってある。


 ミンケイバーなんて破壊力特化のただの暴虐ロボじゃないよ!が、彼女の持論だ。


 悔しかったら一千度を超える高温のマグマ地帯やマイナス百度の氷点下で戦ってみなさいな。出来ないでしょう?


 でも、ウチのノーシェイプはそれが出来るのよね。


 世界各地のどんな過酷な場所にも行けて、さらにその場において活動できる強みは他のどのメーカーでも未だ到達できていない境地だ。


 手元に山とあるコーティングコードの羅列を眺めて、ダオは鼻息を荒くした。


 さらに研究所独自のマスドライバーから目的地まで射出するという画期的なアイデアは、日本であればどこであっても、ものの数分で到達することを可能としている。


 故に、ノーシェイプは最高のロボットであると彼女は絶賛する。




 なんて完璧なマシンなのかしら!と。


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