信長は家康に拳を握って見せる。

「美濃を攻めるのにお前の力は借りない!

 …親父殿の仇討ちだからな、俺達だけでやるさ!

 しかし、武田や北条にちょっかい出されると困るから、それをここで抑えもらいたいんだ」

「ふむ、たしかに三河を通らないと尾張には行けないですからねぇ…

 でも、攻め込まれたら足止め程度にもならないですよ

 それでも良いなら同盟を結びましょう」

 家康は信長と同盟を結んだ。


(今の武田と北条は戦中だから、しばらくはこっちに攻めて来れないし、今勢いのある織田家との同盟は渡りに船だ)


 徳川家は独立したばかりで後ろ楯もない。

 織田家との同盟は、この先、武田や北条との戦になった時の保険になる。

「竹千代、助かるよ~」

「だから、家康ですって!」

「うんうん、これで美濃攻めに集中出来るぞ」

 信長は安堵した。


 しかし、そこに状況を一変する伝令が駆け込んで来た。


「殿!大変です!」

「なんだ?騒々しい!

 客人がいるんだぞ!」

 伝令は家康の制止も聞かず報告を続けた。

「申し上げます!斎藤家当主、斎藤義龍殿が亡くなりました!」

「「なんだとっ!?」」

 伝令の報告に家康と信長が同時に驚いた。


「うちの勝家が殺ったのか!?」

 信長が身を乗り出す。

「いえ、病死だそうです……

 まだ14歳の嫡男、龍興たつおきが後を継いだようです!」

 伝令の報告が終わると信長は慌て立ち上がる。

「竹千代!悪いが俺は帰るぞ!

 同盟、ありがとうな!」

 挨拶もそこそこに、信長はすぐに尾張へ戻った。


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