第五話 攻略!稲葉山城!  

 藤吉郎の活躍で美濃攻略の足掛かりは出来た。


「猿、お前本当に墨俣に砦を作ったんだな!

 良くやったぞ!

 約束通り、武士に昇格だ

 …そうだ、武士になるんだから改名もしたらどうだ?」

 当時、武士が改名する事は良くある事だ。

「では、今回お世話になった丹羽殿の『羽』と柴田殿の『柴』を使わせて頂いて、羽柴秀吉はしばひでよしと名乗らせて下さい」

 手柄を自分だけじゃないと言う辺りが『人たらし』と言われる所以ゆえんだ。

「なるほどな、羽柴秀吉か…良いだろう…

 まあ、俺は今まで通り『猿』と呼ぶがな」

 信長は上機嫌だ。


「信長様!いつまで遊んでるつもりですか!?

 さっさと美濃を落として下さい!」

 帰蝶が怒鳴り込んできた。

「いや、ちょっと待てって…

 そんなに簡単には行かないんだよ」

 信長は帰蝶の圧に後退りする。

「そんな弱気でどうするのです!

 父上の無念を晴らして下さい!」

 帰蝶は信長の胸ぐらを掴んで揺すった。

「…き、帰蝶、落ち着けって!

 もう少し時間は掛かるかも知れないけど美濃は必ず落とすから!

 今、その会議中だから、大人しく部屋に戻ってくれ」

 信長がなだめて、なんとか帰蝶を自分の部屋へ追い返した。


「…とは言ったものの、どうするんだよ?

 誰か稲葉山城を落とせないか?

 このままじゃあ、俺は帰蝶に殺されるぞ…」

 信長は家臣を見回す。

「墨俣に拠点が出来たなら、私が落としてみせましょう!」

 勝家が名乗りを上げる。

「さすが勝家!頼んだぞ!

 猿は何でもいい、とにかく斎藤家の情報を集めて来い」

 とりあえず会議は終わった。


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