NOBUNAGA 20th 創世編 

master猫

第一話 信長、結婚する!

 時は室町幕府、十三代将軍足利義輝が治める時代。


 剣の達人で剣豪将軍と云われる義輝でさえ、力が衰え始めた幕府を立て直せずにいた。

 更には南蛮から火縄銃がもたらされ各大名の軍事バランスが崩れ始めた。

 力のある大名達は好き勝手を始め、勢力拡大を計り各地で戦が起きる。


 世は戦国時代に突入したのだった。


 その頃、尾張では織田家が勢力を強め尾張統一を目指していた。

 しかし、尾張は国内での勢力争いだけじゃなく、美濃から斎藤、駿河から今川の圧力を受けてなかなか統一する事が出来ない。


 そんな中、織田家当主信秀はある決断をする。

「斎藤家と和睦して、道三の娘を信長の嫁に迎えるぞ!」

 所謂、政略結婚だ。

 この時代では生まれてすぐに許嫁が出来るなんて当たり前で、いかに有力な相手と結婚出来るかで家の存続が決まると言っても過言ではない。


「斎藤家の娘と結婚だとっ!?

 クソ親父が勝手に決めやがって!」

 家臣から聞かされて信長はカンカンだ。

「若っ!この結婚は織田家の命運が掛かってるんですよ!

 駿河の今川は甲斐の武田、相模の北条と手を組み圧倒的な軍事力を持ってます!

 そんな今川と斎藤から挟み撃ちされたら、今の織田家なんて一溜りもないんですからね!」

 逆に家臣に怒られた。

「…はい、すいませんでした」

 信長は素直に謝った。



 美濃の斎藤家と言えば、支えていた主家を滅ぼし『美濃のマムシ』と恐れられた斎藤道三が治めている。

「何だと!織田が帰蝶きちょうを嫁に寄越せだと!?

 あそこの嫡男は確か『うつけ』と言われている奴だろ?」

「はっ、織田家嫡男信長は奇行で有名なうつけと噂されています

 この話は断った方が…」

 道三の家臣が首を横に振る。

「…いや、そのうつけを見てみたい

 会ってから決めてやると伝えよ」

 道三は信長を呼んで、自分の目で確かめるつもりだ。



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