にらめっこ

春河りっか

第1話 にらめっことアイス


今日は体育館が使えないため全部の部活動が休止の日であった。

バスケ部の彼と放課後、一緒に帰る約束が出来た。周りのみんなには付き合っていることは秘密なのと、彼は部活動で忙しくあまりデートなどが出来ないため、この放課後を特別なものにしたいと思い、頭の中で妄想をしてワクワクしていた。


学校を出て、待ち合わせのコンビニへ向かう。

コンビニに行くと、自転車を停める彼の姿を目撃し、走って駆け寄った。


「早かったね」


彼は自転車の鍵を閉めてこちらを向いた。


「早く2人っきりになりたくて」


照れながら話す彼に私もその熱が移って、嬉しくも顔が赤くなった。

秋になってきたが、まだまだ日中は半袖の出番が多く、今も少し暑さを感じた。


2人でコンビニの中に入り、何を食べようかと考えていると、アイスのコーナーを見つけて、バニラアイスにチョコレートのコーティングがかかったアイスバーを購入した。

彼はソーダ味のアイスバーを購入し、近くにある公園に向かった。ベンチに並んで座り、アイスを食べる。


「もう秋なのに、まだまだアイスが美味しいね?」


「そうだな。ーーでも、よくチョコレートのアイス食えるな。甘すぎないか?」


彼は私のことを不思議そう見る。


「全然!この甘さが今日の体や心の疲れを癒してくれるのさ!」


私はもう一度アイスにかぶりつく。

彼は「そうなんだ」とあまり納得していないような曖昧な返事をした。


「全然良さが伝わってないみたいだね?」


「そうだな……なら、教えて欲しい」


彼は真剣な顔でみるみるこちらに顔を近づけて、私の手元のアイスを1口食べた。


(キスされるかと思った……)


「甘いな。俺には甘すぎる」


そう言って、彼は自分のソーダ味のアイスを再びかじった。

先程の彼の行動に動揺しつつ、彼は平然としているので、私も普段通りにした。

最後の1口も食べ終わり満足していると、彼が「にらめっこしない?」と提案してきた。

謎に思いつつ、いいよと二つ返事をした。

にらめっこの掛け声をすると、私は変顔をしたら、彼は顔を近づけてキスをしてきた。


「俺の負けだな」


彼は負けたのに満足そうな顔をしていた。


「いきなりびっくりしたよ」


「ごめん、我慢出来なかった」


「いいけど、次からは言ってよね!


ーーあと、私が勝ったからアイス奢って!!」


「わかった」


また彼と放課後を過ごしたいと茜色に輝く夕日を見ながら思う。彼の隣にいるこの時間を胸に刻む。

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にらめっこ 春河りっか @HarukawaRikka

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