こちらの掌編は、爽やかな青春ラブストーリーです。
主人公の小陽(こはる)にとってあこがれの存在は、野球部員・コウダイ。
でもそんな彼女を想うのは、軽音部に所属する朗(ロウ)。
チャラい外見とは裏腹に、小陽への真っ直ぐな想いを秘めています。
彼は、小陽の好きな人がコウダイであることを知りながらも、彼女に自分の気持ちを伝えようとします。
それも、オリジナルソングというとっておきの方法で――
アンプを通さないエレキギターの音色は頼りないけれど、
河川敷に響き渡る朗の歌声は小陽の心を揺さぶります。
好きな人に気持ちを伝えたいという、切実な想いの表れだから。
高校生の等身大の恋愛模様と、音楽を通じた心の交流がなんといっても魅力的!
野球部員・コウダイに憧れながらも揺れ動く小陽の乙女心、朗のひたむきな想い、
そして二人の距離が少しずつ縮まっていく様子が、丁寧に描かれています。
「好きな人」とは?
「憧れ」と「恋」の違いとは?
そんな普遍的なテーマが、甘酸っぱい青春のメロディーに乗せて描かれます♪
KAC20252「あこがれ」の参加作品です。
あこがれというと、相手を想っている要素が、今まで読んできたなかで多く見受けられました。今作もそうなのですが。その感情にプラスして、キャッチコピーに書かれた言葉。
「オレだって、コハルちゃんに憧れられたーい!」
このストレートな言霊に、震えそうになります。
時にストレートすぎて。
時に恥ずかしいことも直球で振る舞って。
でも良いじゃないですか。
それがアオハルってヤツですよ。
過去を振り返って、あの時を思い出したら悶絶するかもしれないけど。
その言霊も歌声も響かないわけがない。
2050字の最高のラブソング。
「恥ずかしくて言えない」
「勇気が出せない」と思っているあなたに、この歌声、響き渡って!