漫画家マウントを取ってくる妻の殺害計画!

タカナシ

第1話

 俺の妻のリクさんは最高だ。

 これ以上ないくらい最高の妻だ。炊事、洗濯もこなしつつ漫画の原作者として作品を世に出している。

 私の趣味のカクヨムももちろん温かく見守ってくれているし、応援もしてくれている。さらに推し活も最大限、理解を示してくれて協力してくれる。

 なんて素晴らしい妻なのだろうか。


 だが、最高過ぎた。

 非の打ちどころがないのが非のうちどころなのだ。

 私もこうして筆を取っている以上、書籍化や漫画原作にあこがれがあるのは当然だ。それを目の前で行われ、かと言って非難できるような落ち度もない。

 いつの間にか、妻に対する感情はあこがれを超えて嫉妬の域にまで到達していた。


 この感情は偏愛と世間一般には呼ばれるだろう。もしくは独占欲とも言われるかもしれない。

 これ以上、妻が有名になっていくのは許せない。だが、かといって仕事を辞めるように言うことは断じて出来ない。それは今の自分の趣味である執筆を否定することにも繋がるからだ。


 もう……、こうなったら殺すしかない!!


 俺は密かにパソコンに向かって殺害方法をいくつか調べていく。

 だが、暴力を振るって殺す方法は俺の妻を物理的に傷つけ、せっかくの綺麗な肌を傷モノにしてしまう。

 却下だ!!


 溺死や窒息死なども考えたが、どちらも行うのに暴力が伴う。

 やはり却下だ!!


 ならばと毒殺を考慮してみる。

 これならば外見は変わらないだろう……。だがしばらく考えて、内臓が傷ついてるじゃんっ!!

 妻の美しい胃や腸が傷つくのはダメだ。

 却下だ! 却下!!


 なるべく最高な妻には傷をつけずに殺したい。

 だが、人を殺すという行為自体破壊を伴う、そうそう傷をつけずに殺す方法などなく、俺の殺害計画は暗礁に乗り上げた。そんなときだった。

 習慣となっている週刊少年ジャンプを読んでいるとき、ヒントがあった。

 その中で、最高の殺し方があったのだ。

 それを知った俺はさっそく行動に移すことにした。


「リクさん、プリン買ってきたよ。良かったら食べて」


「リクさんが推しの一番くじあったから買ってきたよ~」


「リクさんが推しの時計、誕生日プレゼントに買っておいた。いつもありがとう」


 妻は頬を緩ませて、笑顔だ。


 ふっふっふっ、いいぞ。いいぞ。これぞ作戦通り!!

 

「リクさん愛してるよ~」


「わたしも!」


 これは完璧に作戦が成功したことを意味する。

 これで、俺の殺害計画、『キュン死』が実現できるぞっ!!


「わたし、死にそうなほど幸せっ!」


 良し良し、あともう一押しで殺せるんじゃないか。


 …………だけど、いつまでたってもキュン死しない。

 これは俺の努力が足りないのか、もっともっとキュンキュンさせねばっ!!


 俺の殺害計画はまだまだ続くのだった。



※この物語はフィクションです。


 もう一度言います。この物語はフィクション。筆者やその妻とは、何の関係もありません。



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