藤咲舞衣
急に、涙が出てきた。4人が慌てている。
「藤咲ちゃ...」
私は片手で涙を拭い、片手で悠斗を制した。
「ごめんっ。...みんなの気持ちは、よく、分かった。でも、私っ、みんなと過ごす今みたいな日々が大好き、なの。これからも、こうやってゲームしたりしてたい。でも、今、それがなくなろうとしてるのかなって、思ったら、なんか、泣けてきちゃって、ごめんね。」
臭いことを言っている自覚はある。
「いや、こっちこそ...」
「謝らないでっ」
私は鼻水を啜った。我ながら汚い。
「私は、みんなのことが好きだよ。でも、今までと同じように仲良くしてたい。...いい、かな。みんなの気持ちを無下にしちゃうことに、なるかもしれないけど。」
4人は黙って頷いた。
「ありがとうっ。ごめんね」
涙を手の甲で拭い続けていると、不意に頭に何かが乗った。手だ、と思った。手がそっと動き、私の頭を撫でた。
「...秀、抜け駆け?」
「えっ?」
「平等でってことだったよね?」
「おーい?秀?」
「はあ!?違っ、違うわいっ!」
4人がいつも通りわちゃわちゃしているのを見ていると、口角が上がる。
「秀。」
秀が振り返った。
「菊葉...いや、昴くん。」
昴くんが振り返った。
「悠斗くん。」
悠斗くんが振り返った。
「大晴くん。」
大晴くんが振り返った。
「ありがとう。」
4人は笑った。
「じゃ、ゲームしよ!」
「あはっ。いいよー」
こんな日々が続いていく。私の大好きな日常が。
いつものヤツら 黒井ちご @chigo210
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